TOEICは日本で非常に知名度の高い英語試験です。
そのため、「TOEICは日本人しか受験していない」「日本の就職活動でしか使われていない試験」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
TOEICは日本だけでなく韓国でも長年利用されてきた英語試験です。
韓国でTOEICが始まったのは1982年。日本で第1回TOEIC公開テストが実施された1979年から、わずか数年後です。
この記事では、TOEICが韓国でどのように広がっていったのか、その歴史を紹介します。
TOEICは日本で生まれた英語試験
TOEICは、アメリカで生まれて日本に輸入された試験だと思われることがあります。
しかし、TOEICの開発プロジェクトが始まったのは日本です。
1970年代、日本企業の海外進出が進むなかで、英語によるコミュニケーション能力を客観的に測定できる試験が必要とされるようになりました。
そこで日本側から、TOEFLなどを開発するアメリカの非営利テスト開発機関ETS(Educational Testing Service)へテスト開発を依頼しました。
そして1979年12月、日本で第1回TOEIC公開テストが実施されました。
第1回の受験者は2,773人です。
現在の知名度を考えると意外ですが、TOEICは最初から巨大な英語試験だったわけではありません。
韓国では1982年にTOEICが始まった
日本で第1回TOEIC公開テストが実施された約2年後の1982年1月、韓国でもTOEICが始まりました。
韓国では当時、英文法や英文読解を中心とした英語試験が多く、Listeningを含むTOEICは新しいタイプの試験として注目されました。
その後、韓国企業が社員の英語力を測る試験としてTOEICを利用するようになります。
サムスンをはじめとする企業グループで利用され、その後も企業での活用が広がっていきました。
つまりTOEICは、日本だけで普及した英語試験ではありません。
日本で1979年、韓国で1982年と、かなり早い段階から日韓両国で利用されてきました。
韓国でTOEIC受験者が増えた背景
韓国でTOEICが大きく広がった背景には、企業活動のグローバル化があります。
1990年代になると、韓国企業の海外進出が進み、仕事で英語を使える人材の必要性が高まっていきました。
企業が社員の英語力を評価する手段としてTOEICを利用するようになり、それに伴って受験者も増加しました。
韓国では就職や企業内での評価と英語試験との関係も強く、TOEICが広く知られるようになりました。
IIBCの過去の資料によると、韓国のTOEIC受験者数は1990年代から2000年代にかけて大きく増加しています。
「TOEICは日本だけで使われている試験」というイメージは、実際の歴史とはかなり違います。
TOEICは「日本と韓国だけの試験」でもない
TOEICについては、
「日本人と韓国人しか受験していない」
と言われることもあります。
確かに、日本と韓国はTOEICが非常に広く普及してきた国です。
しかし、TOEIC Program自体は日本と韓国だけで実施されている試験ではありません。
現在では世界各国で利用されています。
TOEICは、大学進学を目的としたTOEFLとは異なり、日常生活やグローバルビジネスで必要となる英語コミュニケーション能力を測定する試験として発展してきました。
そのため、企業で英語力を測定する必要性が高まった日本や韓国で、特に広く普及したと考えると分かりやすいでしょう。
韓国ではTOEIC Speaking & Writingも利用されている
TOEIC Programには、ListeningとReadingを測るTOEIC L&Rだけでなく、SpeakingとWritingを測定するTOEIC S&Wもあります。
韓国では、TOEIC L&RだけでなくSpeakingを含めた英語力の評価も利用されてきました。
これは、「英語の知識を持っているか」だけではなく、実際に英語を使って話したり書いたりできるかを評価する必要性が高まったためです。
日本でもTOEIC L&Rの知名度が圧倒的に高いですが、英語力そのものを考えるのであればListeningとReadingだけで十分ではありません。
読む・聞くための基礎英語力を身につけたうえで、SpeakingやWritingまで伸ばしていく必要があります。
TOEICの点数が高ければ英語を話せるとは限らない
ここはTOEICについて誤解されやすいところです。
TOEIC L&Rで測定しているのは、ListeningとReadingです。
そのため、TOEIC L&Rで高得点を取得しただけで、SpeakingやWritingまで同じレベルにあるとは言えません。
一方で、
「TOEICでは英語を話せるようにならないから意味がない」
と考えるのも極端です。
英語を話すためにも、英文法や英単語を理解し、相手の英語を聞き取る力が必要です。
特に英語初級者の場合、いきなり英会話の練習量だけを増やすよりも、まず英文法・英単語・発音・英文読解・Listeningなどの基礎を身につける必要があります。
TOEIC L&Rは英語力のすべてを測る試験ではありませんが、英語の基礎力を確認する一つの指標として利用できます。
日本と韓国でTOEICが広がった歴史から分かること
TOEICは1979年に日本で第1回公開テストが実施され、その約2年後の1982年には韓国でも始まりました。
その後、日本と韓国の両国で企業などによる利用が広がり、多くの人が受験する英語試験になりました。
ただし、
「TOEICが普及したから韓国人の英語力が上がった」
と単純に結論づけることはできません。
学校教育、海外留学、企業のグローバル化、英語学習への投資など、英語力にはさまざまな要因が関係するからです。
TOEICについて言えるのは、企業や大学などが英語力を共通の基準で測定するための一つの道具として、日本や韓国で長期間利用されてきたということです。
TOEICは目的ではなく、英語力を確認するための手段
TOEICで高得点を取ること自体を英語学習の最終目的にする必要はありません。
重要なのは、TOEIC対策だけを繰り返すことではなく、TOEICの学習を通じて英文法・英単語・発音・英文読解・Listeningなどの基礎英語力を身につけることです。
その基礎があれば、その後に英会話やWritingなどのアウトプット学習にも進みやすくなります。
特にTOEIC600点未満の方は、問題を解くテクニックばかりを追いかけるより、まず英語の基礎を固めることをおすすめします。
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