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浅場 眞紀子先生インタビュー「TOEIC Speaking & Writing 試験の魅力とは」

<記事の要約>

◆TOEIC(R) Speaking & Writing試験(TOEIC SW試験)を「英語能力を評価する新しい基準」として取り入れる企業が増えています。

◆英語のスピーキング試験は様々ある中で、「TOEIC SW試験」を選ぶメリットとは。

◆フィリピン留学は「TOEIC SW試験」の勉強をする環境としてオススメな理由。

◆LR試験とSW試験を交互に勉強すれば、インプット能力とアウトプット能力を通常よりも効果的に伸ばしていける。

*TOEIC SW試験とは……TOEIC Speaking & Writing試験。英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)のうち、アウトプット能力(話す・書く)を測ることができる。

目次

なぜ今、「TOEIC(R) Speaking & Writing Tests」が注目されているのか

− 最初に、浅場先生のご経歴について教えていただけますか。

私はもともと外資系企業に勤めており、約10年間トレーダーとして働いていました。そのうち3年間は、駐在員としてアメリカに滞在していました。

海外で英語を使いながら働く中で、「TOEIC(R) Listening & Reading Test (TOEIC LR試験)で800点以上の英語力」、「聞く力」「読む力」という受動的な能力を測定する試験だけでは不十分だと感じました。

「ビジネスの現場で生き抜くための英語能力」、言い換えると、現場で働く上で必要な「スピード感」や「対応能力」が必要だと痛感しました。

「ビジネスの現場で生き抜くための英語能力」を企業様へ提供するために、2014年に共同経営者と共にQ-Leap株式会社を立ち上げました。

− 「ビジネスの現場で生き抜くための英語能力」を測る基準として、TOEIC SW試験に注目したきっかけは何だったのでしょうか。

TOEIC SW試験は、TOEIC LR試験の学習を通して身につけた語彙・文法を活用して、スピーキング能力を伸ばしていける試験として注目しました。

浅場先生が執筆したTOEIC SW試験対策の参考書『TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策』

私が初めてTOEIC SW試験を受験したのは、2010年だったと記憶しています。

当時、語学教育の総合企業で「企業向け語学研修の講師」として働く中で、自身の英語能力を向上させるために「外部の英語試験」を活用していたんです。

やはり日本にいると、日常生活で英語を使う場面はほとんど無いんですよね。でも、自分の英語力を数値として評価してくれる、定量的な目標を設定しなければ、英語学習はなかなか継続できませんので。

外部の英語試験は様々ありますが、TOEIC Listening & Reading試験(以下、TOEIC LR試験)は「英語力向上の進歩が見えやすいテスト」として特に人気です。

ただ、TOEIC LR試験は人気があって、勉強している人は多いのですが、その学習者たちが実際のビジネス現場で全く太刀打ちできないという現象がありました。

いわゆる「TOEIC LR試験で800点取った。でも、全く喋れない」という現象ですね。この状況をなんとかするために、TOEIC LR試験で600点以上の点数を獲得した方が、「次の目標」としてTOEIC SW試験の学習をすることで、さらに英語力を伸ばしていけると考えたんです。

− 大手企業はTOEIC LR試験を「入社・昇給・昇格」の基準とすることが一般的になっています。一方、英語を話す力・書く力に関してはいかがでしょうか。「TOEIC SW試験を『評価の基準』に取り入れる動き」が広まっていますか。

TOEICスコア以外にスピーキング・ライティング能力を昇進・昇格の参考にするか

(2013年「上場企業における英語活用実態調査」報告書より引用)

TOEIC SW試験も評価する企業が増えてきています。以前研修を担当させていただいた企業様で、社内での英語業務の割合が増える一方で、「TOEIC LR試験で800点以上のスコアを獲得したけれど、あまり英会話はできない」という社員の方が増加していました。

そこでTOEIC SW試験が「英語力を測るための評価基準」として新たに導入されていたんです。お隣りの韓国では、すでに新卒採用時に「TOEIC Speaking試験」のスコアを評価対象とする動きが企業間で広がっています。

そして、TOEIC SW試験からSpeakingだけを分離しているTOEIC(R) Speaking試験は20分間で受験できます。そのため、企業でTOEIC(R) Speaking試験を実施した場合(IP試験)の負担が少ない点も評価されています。

日本の一部の私立大学でも、TOEIC SW試験のスコアを「入学審査の評価項目の1つ」にするという新たな取り組みが行われています。TOEIC LR試験とTOEIC SW試験の合計点が基準の点数を越えると、AO試験において英語力が認定されるというケースもあるようです。

現在日本ではスピーキング試験を「英語力の評価の対象にする」という考え方は十分に浸透していません。しかし今後は韓国と同様に英語のアウトプット能力(話す・書く)を重視する風潮はより広がっていくと予想しています。

TOEIC Speaking & Writing試験 受験者数の推移

TOEIC® Speaking & Writing Tests 公式データ・資料「受験者の推移」より引用)

「数あるスピーキング試験」の中から、TOEIC SW試験を選ぶ理由

− 英検・TOEFL・IELTSなど「英語のアウトプット能力(聞く・話す)」を測る試験はたくさんありますが、なぜ「TOEIC SW試験」を選ばれるのですか。

お勧めする理由は下記の3つの理由からです。

1つ目の理由…TOEIC LR試験に慣れ親しんでいる日本人にとって、TOEIC SW試験はTOEIC LR試験の点数を向上させたあとの「次の目標」として取り組みやすい試験だから

2つ目の理由…TOEIC SW試験は「徐々にアウトプットの負荷を高めていく形式」の試験であるため試験準備がそのままアウトプット力に繋がるから

3つ目の理由…TOEIC SW試験がビジネスの現場で必要となる「状況把握能力、対応能力」を測ることができる試験であるため

順番にいきます。

まず1つめは、TOEIC LR試験に慣れ親しんでいる日本人にとって、TOEIC SW試験はTOEIC LR試験の点数を向上させたあとの「次の目標」として相応しい試験だからです

先ほど少しお話したように、TOEIC SW試験は「TOEIC LR試験の学習を通して身につけた語彙・文法を活用して、スピーキング能力を伸ばせる試験」です。

TOEIC LR試験に慣れ親しんでいる日本人にとって、スピーキング能力を伸ばすために着手しやすいテストだと言えるでしょう。TOEIC LR試験とTOEIC SW試験を作成している会社は同じ会社ですしね。

 

2つ目の理由として、TOEIC SW試験は「徐々にアウトプットの負荷を高めていく形式」の試験であることが挙げられます。

TOEIC SW試験というのは後ろの設問へ進むほど、段階的に少しづつ「テスト側からのサポート」がなくなっていきます。

<TOEIC SW試験の内容>

(Q1-2) 与えられた英文を音読する問題

(Q3) 与えられた写真に関してを口頭で説明する問題(TOEIC LR試験のPart1と類似)

(Q4-6) インタビューや会話で、簡単な質問に対して返答する問題(TOEIC LR試験のPart2と類似)

(Q7-9) 提示された資料に関しての質問に答える問題

(Q10) 仕事場での電話や会議において社内で発生している問題を理解した上で、自分なりの解決策を提示する問題(TOEIC LR試験のPart3、4の聞き取り問題と類似)

(Q11) 与えられた議題について、自分の立場や意見を賛成・反対で表明する問題

最初は画面上に提示された文章を音読したり、写真を説明したりするような問題です。しかし後半に進むと、口頭で与えられた課題に対して「正確に理解・要約・解決策を提示」するという難解な内容になっていきます。

実際にTOEIC SW試験を受験する気が無くても、「英語を話す力を高める訓練」としてTOEIC SW試験の学習は有効です。

 

3つ目の理由として、TOEIC SW試験がビジネスの現場で必要となる「状況把握能力、対応能力」を測ることができる試験であることが挙げられます。

TOEIC LR試験は受動的な英語力(聞く力・読む力)を測定する試験として、日本では飛び抜けた知名度を持っています。一方、能動的な英語力(話す・書く)を測る試験は乱立している状態です。

企業の英語研修を担当されている方も、それぞれの試験の特性を理解していないと思います。どの試験を採用したら、企業が求める「英語のアウトプット能力」が測れるのかという判断は難しいですよね。

TOEIC SW試験は「ビジネスの現場で必要とされる英語力」を鍛えられるテストですから、大学生から社会人の方まで多くの人にお勧めすることができます。

− 「TOEIC SW試験」のための学習をすることで、「ビジネスの現場で活かせる」というのには納得です。浅場先生の参考書に書かれていた「職場で発生している問題に対して解決案を提案する設問(Q10)」で、良い案が思い浮かばない時は保留しましょう!」というアドバイスがあったのは印象的でした。

TOEIC SW試験は何らかの対応をすることが重要ですので、「何も言わないよりは、何か言いましょう」ということですね(笑)なにか回答したら、少なくとも部分点はもらえますし。

出版社の編集者の方にも「正攻法の解答方法」を解説した上で、「正攻法ではダメだったときの対応法」を入れて欲しいと言われたんです。つまりは、サバイバル技術ですね。

出題者が求める「問題の要約・解決策の提示」はしていないけど、黙ってるよりずっと良いですから。何より「自分の知識が無く答えられない」というパターンも覚えておけば、ビジネスの現場でも実際に使えますからね。

TOEIC LR試験600点を獲得してから「TOEIC SW試験の勉強」をしよう

− TOEIC SW試験の学習は、どのくらいの英語力に到達したら始めるべきなのでしょうか。

私は生徒さんへの授業を行う中で、「TOEIC LR試験600点未満の人は、まずインプット学習に集中してください」と言っています。TOEIC LR試験で600点取れないような「基礎力がない状態」では「英語を話す力」はあまり伸びません。

TOEIC SW試験対策のために、高額なスピーキングレッスンを受けても「猫に小判」「豚に真珠」の状態になってしまいます。

英語初級者の方が「英語を話す力を伸ばしたい」という気持ちも分かるのですが、まずは文法知識をある程度固めた上で、知っている英単語の量を増やす必要があります。

TOEIC SW試験のスピーキングパートで150点未満の点数の方は、一見英語を喋っているように見えて、実際は文法があちこち間違っているような状態です。まずは適切な英文法に従って話せるように、TOEIC SW試験のスピーキングパートで「150点」を取得しましょう。

「英語を話す力」と言っても、「日常英会話」から「ビジネス英会話」までそのレベルは様々です。友人と互いの近況や趣味について話す世間話(スモールトーク)もあれば、仕事仲間のいうことを正確に聞き取って対応するビジネス英会話もあります。

少なくとも自分が話したいと希望している分野はどの分野であるのかをまず把握しましょう。そのうえで、その希望する分野についてあらかじめインプット学習(英単語の暗記・関連する英文記事の読み込み)をしましょう。そうでなければ、その分野についての英語を話すことは絶対に出来ません。

目標もないまま漠然と英語を喋っても、スピーキング能力は向上しません。オンライン英会話や英会話学校で場数を踏むことで、話し慣れすることはできるかもしれません。

でも、インプット学習をせずに英会話の場数だけ踏んでも、英会話能力は向上しません。「インプット学習で学んだことをアウトプットする」のが大切です。

− TOEIC SW試験を初めて受ける場合、まず何点を目指せば良いのでしょうか。

TOEIC LR試験で600点を取得したタイミングで受験したならば、現実的にはTOEIC SW試験のスピーキングパートで「100点※」を目指すのお勧めです。※スピーキングパートは200点満点です。

そのうえで、100点を獲得した日本人の英語学習者には「スピーキング試験で”150点”取得を目標にしましょう」と言っています。

150点を獲得した後は、170点の獲得を目指します。170点ともなると、英文法の間違いはより少なくなり、場面や話し相手の立場に応じた適切な英語を使いこなせるようになります。

− 日本で英語を「話す力」を伸ばそうという方への助言をいただけますか。

やはり「英語で話す力」というのは、短期間に集中して学習に取り組まないと上達を感じにくいんですよね。

日本に住んでいると日常生活で英語を話す機会もほとんどないので、勉強しない期間が少しでもできてしまえば、すぐに「記憶」も「スキル」も薄まってしまいます。また思い出した時に、ちょっと勉強するけど、忙しくなると勉強しなくなって……というのを繰り返してしまうんですよね。

「英語を話せるようになりたい」と考える方は多くいらっしゃいますが、働きながら英語学習を継続するにはよっぽどの「学習効果」が目に見えないと厳しいと思います。

また、日本で専門家の個別レッスンを受けようとすると、1時間で最低10,000円はかかるでしょう。価格の面からも、誰もが個別レッスンを受けられるわけではないんですよね。そしてまた、現時点で英会話の経験がほとんどない方にとっては「過剰品質なレッスン」になってしまう恐れが有ります。

そして、私もTOEIC SW試験対策のための参考書を出版しましたが、紙面で「英語を話す力」について教えるのは本当に難しいんです。読者の方に少しでも寄り添えるように、模擬テストの解説をする「音声のミニ講義」を教材に付属させているんです。下記写真の中央の文章(著者による音声ミニ講義)に注目にしていただけますか。

紙面上のレッスンは一方方向で、読者の方々が抱える悩みや弱点を把握しないまま、次の章へと内容を進めざるを得ません。そのため、「対面レッスンの臨場感」を伝えるために、あえて「音声ミニ講義」を盛り込みました。

紙面上のレッスンと比べると、マンツーマンレッスンでは、対面で1人1人との英語でのやり取りを通じて、その人がまさに抱える課題について発見できます。その課題についての解決案を提案することで、もう一段階上の水準まで、受講者の方の英語力を高められます。

− ハルヨンでは特に発音・発話を意識した「音読学習」を推奨しています。

それはいいですね。私も生徒さんへの授業を行うに当たって、「発音のトレーニング」に力を入れています。完璧な発音を求めているのではなく、自分の英語の発音をネイティブの音に近づけることで、「英語を聞き取る力」を高めることが出来ます。発音を意識することで、「これまでに意識していなかった英語の音の範囲」まで意識出来るようになるのです。

TOEIC LR試験では、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージランドの5カ国の英語発音が採用されています。こういった「ネイティブスピーカーの音」に自分の発音を近づける訓練をしておくことで、聞き取れる範囲が広がり、ひとつひとつの単語をより明確に聞き分けられるようになります。

自分自身が「標準的な英語話者達の発音」に近づく努力をしていれば、慣れない発音でも理解することができるようになります。英語の聞き取りの範囲を広げるためにも、発音学習をやったほうがいいです。

他にもTOEIC LR試験のReading Partも、TOEIC Writing試験などで自分が英文でメールを書くことをしていれば、問題文にある英文の構造を素早く理解できます。このように自分自身が英語を使用したアウトプット経験があれば、英語のインプット学習に関してもより効果的に取り組むことが出来ます。

− 管理職や意思決定者の方々に「スピーキング学習の重要性」が浸透していないんだなと感じます。

やはり日本の企業の語学研修は、まだ様々な問題を抱えています。TOEIC LR試験を学習した後、その先を見据えないとダメだと思っています。

TOEIC LR試験への学習モチベーションあるのであれば、「口頭で英語を話すトレーニング」をすることは絶対にリスニング能力・リーディング能力の向上にも繋がってきます。

またTOEIC SW試験は、TOEIC LR試験で学んだ語彙・文法が登場するので、スピーキング練習をすることでより理解が深まります。下記のようにTOEIC LR試験とTOEIC SW試験の問題は類似しているものが多いです。

TOEIC LR試験 TOEIC TOEIC SW試験試験
Listening Part 3 (英会話)、Part 4 (1人の人が読み上げる) Question 1、2 (Part3と4に似た英文の音読)
Listening Part 1 (写真描写) Question 3 (写真描写)
Listening Part 2 (短い英会話応答) Question 4~6 (短い英会話応答)
Listening Part 3 (英会話)、Part 4 (1人の人が読み上げる) Question 10 (Part3と4に似た英文に対する応答)

それに、TOEIC LR試験の勉強だけをやっていても、アウトプット能力(話す・書く)は向上しません。自分が発音・発話の練習することで、リスニング能力は向上しますし、メールを自分で書いてみることで英文の構造を意識できるようになります。

英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)をバラバラに考えないほうが良いです。TOEIC LR試験のスコアを上げるために、「スピーキング・ライティング(話す・書く)」の訓練をしていきましょう。それぞれの技能を独立して勉強するのではなく、LR⇒SW⇒LR⇒SWというようにインプットをしたらそれをアウトプットで確認する勉強が上達のコツだと思います。

例えば、TOEIC LR試験のPart1の写真描写問題ですが、TOEIC SW試験では自分で写真を描写する必要があります。そして、SW試験を通じて自分自身で写真を描写したことがあれば、「この表現は自分でも使えそうだな」というように、LR試験のPart1に接することが出来るようになります。

このようにLRとSWを組み合わせることで、インプット学習とアウトプット学習が、それぞれ関連したものになり、学習効果が高まっていきます。

本日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。

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この記事を書いた人

はるじぇー (株)ハルヨン 代表取締役

英語学習に関する有益な情報を発信しています。

得意分野は
「中学・高校英文法の学び直し」
「英会話に繋げるTOEIC L&R試験の勉強法」
です。

ツイッターは相互フォローの方針でやっているので、お気軽にフォロー下さい。

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