TOEIC LR試験を初めて受験する初級者向けTOEIC勉強法を紹介

(2019年1月最新版)

英語学習は生徒・学生だけのものではありません。スキルアップ・転職活動を見据えて英語学習を始め、TOEIC LR試験を受験してみようと決意された方も多いはず。 今回はそんな社会人の方々に向けて、初めてのTOEIC LR試験までの学習の流れをご提案します。

目次

英語学習をしばらくしていないのであれば、中学・高校英語の基礎固めから

大学入学前に一生懸命英語を勉強して、センター試験も2次試験も良い成績を収めたという方でも要注意。

英語の知識は使わなければどんどんと抜けていきます。大学の語学の時間を除いて英語学習を一切していない、という場合には英語力は相当低下しています。

学生時代、あるいは中学・高校で英語が苦手だったなという方の場合はなおさらです。基礎的な英文法の知識、知っておくべき英単語を忘れてしまっているのでは英語学習が捗りません。

英語への苦手意識、また英語を一切学習していないという学習期間の空白があるのなら、TOEIC LR試験対策は中学・高校で学んで英文法の復習から始めましょう。 そしてまた、英語を運用する4技能(読む力・聞く力・書く力)のうち、最も難しいのはスピーキングです。

「英語力を高めて、英語を流暢に話したい!」と思っている方も多いと思います。ですが、高度な能力を要する作業を行うには、その作業に必要な能力を段階にわけて覚えることが効率的です。これはスモールステップ法(シェイピング法)と呼ばれています。

シェイピング法…目的とする行動の変化(増加・減少)にたどり着くために、その方向で少しやりやすい変化をもたらす所から始め、徐々に目的に近づけて行くやり方。 逐次接近法ともいう。 アメリカの心理学者バラス・スキナーによって開発された。 この図のように、英語学習は「読む力→聞く力→書く力→話す力」の順番で進めていくことが効率的です。英語学習に慣れていない方はなおさらです。いきなり英会話や難しい英文を読むのではなく「英単語」や「文法」 など基礎知識のインプットを増やしましょう。

実際、多くの生徒を見てきましたが、TOEIC LR試験で600点を超えたくらいから徐々に英会話が出来るようになります。

そのため、現時点でTOEIC LR試験が600点に満たない方は、まずはTOEIC LR試験を通じて「英語を聴く」「英語を読む」ことが出来るようになるのが先決です。 私は生徒さんへの授業を行う中で、「TOEIC LR試験600点未満の人は、まずインプット学習に集中してください」と言っています。

TOEIC LR試験で600点取れないような「基礎力がない状態」では「英語を話す力」はあまり伸びません。そのため、英会話能力を伸ばすために高額なスピーキングレッスンを受けても「猫に小判」「豚に真珠」の状態になってしまいます。

TOEIC200点レベル、英語が本当に苦手な人のためのTOEIC勉強法

ここから英語が本当に苦手な、TOEIC200点レベルの方に向けて学習方法をご紹介します。 TOEIC200点レベルの方は、中学・高校と受験勉強をした経験がなく、また英語に限らず普段何かを勉強する習慣のないことが多いです。よってまずは、自ら机に向かって勉強する習慣を身に付けなくてはなりません。日常生活において「毎日英語を勉強している」という習慣を確立する必要があります。

【TOEIC200点レベルの方向け、最初の3冊】

【英文法理解】『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。

⇒英語が苦手な中学生向けの英文法教材。中学1年生で英語が嫌になった、「三単現のSって何?」という方にお勧め。

「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」はアルファベットの書き方から指導してくれます。また、サウスピークでは参考書の著者である山田先生にインタビュー行いました。

本書をより有効に活用するために、下記の記事を事前に目を通して下さい。

山田暢彦先生インタビュー(1) 『中学英語をひとつひとつわかりやすく。』40万部越えベストセラー本を執筆した理由

【英文法理解・英文読解】『どんどん話せる 驚異の中学英語

⇒「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」と同じく、山田暢彦先生の著書。「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」で学んだ内容を本書で定着させて下さい。

【語彙力アップ】『速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3

⇒英文を読みながら、英単語を定着させてください。途中から高校レベルの記事になるので、最初は理解出来る中学レベルの記事にまずは着手下さい。この参考書の著者である松本茂先生へのインタビュー記事があります。

上記3冊の学習を通じて、学習法として「本文を精読⇒音読による⇒リスニング⇒マンツーマンレッスンで理解しているかどうか確認する」という基本的な英語学習の型を習得してもらいます。 この学習習慣が身についたら、中学3年生水準⇒高校生水準とレベルアップしていきます。

上記で紹介した英語参考書の基本的な使用方法・勉強法に関してはこの記事後半の内容、英語学習の具体的な方法・英語学習を習慣化するための方法の内容を確認下さい。

「1日30分の勉強するだけで、英語が出来るようになる」とは決して言いません。平日は1日平均10時間、1ヶ月で300時間、3ヶ月で750時間の勉強をして英語力を高めています。 英語を習得するには正しい学習法に沿って、長時間勉強をすることで英語が出来るようになります。語学学習においては魔法はありませんので、地道に学習を進めます。

しかしながら、語学学習は時間を重ねればほとんど全ての人が習得出来る分野でもありますので、途中で挫折すること無く、めげることなく学習を継続して下さい。 その他、TOEIC200点レベルからの学習法、TOEIC200点レベルから英語学習を開始された方の学習体験談を下記にまとめました。

TOEIC300点レベル、高校生レベルからのTOEIC勉強法

TOEIC300点レベルの方々は大きく分けて2つのグループが有ります。「TOEIC LR試験で345点以下」「TOEIC LR試験で350点~395点」のグループに分かれます。 実はTOEIC LR試験は回答を当てずっぽうで回答しても、345点までの点数が取れる場合が有ります。そのため「TOEIC345点取りましたが、実は1問も理解できていませんでした」ということも有りえます。ですので、TOEIC LR試験345点以下の方は、この前の項目である「TOEIC200点レベル、英語が本当に苦手な人のための勉強法」の内容を確認下さい。 ここから先の内容は「TOEIC LR試験で350点~395点」の方々向けです。この方々は通常高校1年生~高校2年生レベルの英語力を備えていると考えられます。 参考データですが、日本の大学生のTOEIC LR試験の平均点は450点前後です。そのため300点レベルの人達は、平均よりは英語が苦手な人達になります。そして、TOEIC300点レベルから始める英語学習で押さえるべきポイントは3つです。

ポイント1…中学英語からやり直す

ポイント2…学んだ英文法の内容を定着させる

ポイント3…英語学習の習慣化

ポイント1…中学英語からやり直す

【英文法理解】『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。

⇒まずは一通り、『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。 』の参考書を通読下さい。

本書を使って、中学英文法の理解漏れがないことを確認してください。もし理解漏れがあったり、理解が曖昧な箇所が有りましたら、その箇所だけ重点的に取組み下さい。

「中学レベルなんて簡単すぎる!」と思うかもしれませんが、受け身や3単現のsなどの理解があやふやでは、どんなに知識を詰め込んでも定着しませんし、試験の点数UPにつながりません。

【英文法理解】『高校 英文法を ひとつひとつわかりやすく。

⇒中学英文法と同様に、理解漏れ・理解が曖昧な箇所の確認を行って下さい。

高校英文法の内容を一通り理解している場合、TOEIC LR試験を無対策で受けても600点は超えます。そのため、現在TOEIC300点レベルの方は確実に理解漏れがあるはずなので、まずはその箇所をやり込んで下さい。なお、『高校 英文法を ひとつひとつわかりやすく。』を1冊だけやり込んでも、高校英文法の理解は完璧にはなりません。

別の参考書(英文読解の参考書)を使って、学んだ知識を定着させる必要があります。

英文読解の参考書は次のポイント2で紹介します。

ポイント2…学んだ英文法の内容を定着させる

【語彙力アップ】『速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3

⇒英文を読みながら、英単語を定着させてください。

もし英文法で理解できない箇所があったら、中学英文法・高校英文法の参考書に戻って内容を確認して下さい。本書は終わらせるのに、かなりの時間がかかる教材です。2~3ヶ月を目安に終了させることを目標に着手下さい。

【英文読解】『大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編

⇒精読・品詞分解の方法を学びます。本書を使用することで英文の構造を理解出来るようになって下さい。

【TOEIC LR試験対策参考書】『公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編

⇒TOEIC LR試験の対策本です。難易度が低いPart1から順番に取り組んで下さい。Part1⇒Part2⇒Part3⇒Part4の順番通りに取り組むのがお勧めです。

補足 英文読解・英単語の補習教材

【TOEIC LR試験対策参考書】『公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編』に着手したけれど、よく分からない箇所がたくさんある、という場合には『大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編 』が終わった後に追加で下記の2冊に取り組み下さい。

【補習教材1】【英文読解】『入門英文解釈の技術70 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)

⇒精読・品詞分解の方法を学んで下さい。登場する例文は全部暗記するくらいにやり込んで下さい。

【補習教材2】【英単語】『TOEICテスト英単語 出るのはこれ!

⇒TOEIC LR試験で必須となる英単語を暗記してください。まずはPart1, 2, 3, 4だけ着手しましょう。例文は丸暗記するつもりで取り組んで下さい。 終わったら、『公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編』に戻って下さい。

英単語帳は「金のフレーズ」「銀のフレーズ」が人気がありますが、英文単位で英単語を覚えた方が力が付きますので、『TOEICテスト英単語 出るのはこれ!』の方がお勧めです。

ポイント3…英語学習の習慣化

3つ目の「英語学習の習慣化」ですが、これは簡単なことではありません。今までに英語学習を日常的にしてこなかった場合「毎日3時間勉強するぞ!」と決意しても、突然それを実行することは難しいのです。そして何より、英語力を伸ばし続けるには長時間の英語学習が必要です。

【TOEIC LR試験 100点を上げる勉強時間の目安】
200点から300点 ⇒ 300〜400時間 ※本当のゼロから開始する場合、さらに時間がかかります。
300点から400点 ⇒ 300〜400時間 ※345点以下の方はさらに時間がかかる可能性有り。
400点から500点 ⇒ 250〜300時間
500点から600点 ⇒ 250〜300時間
600点から700点 ⇒ 250〜300時間
700点から800点 ⇒ 500〜600時間
800点から900点 ⇒ 500〜600時間

【表の見方の一例】

TOEIC LR試験を500点から600点に上げるためには必要な学習時間は「250から300時間」です。

1日3時間の英語学習をする場合には、84日から100日、つまり3ヶ月から3ヶ月半の期間は必要になります。

上記データはTOEIC LR試験で、点数を100点上げるために必要な時間を示しています。このデータは語学学校サウスピークの卒業生による結果を集計し導き出したものです。

例えばTOEIC300点から500点まで点数を上げるには、550〜700時間の英語学習が必要になります。1日2時間勉強するなら275〜350日、つまり9ヶ月~12ヶ月はかかります。   英語学習に慣れていない場合、「長時間机に向かって勉強できない」という事態も考えられます。そ

のため最初のステップとして「長時間机に向かって勉強できる」状態を目指し、それをクリアして英語学習の習慣を身に着けてください。英語学習の習慣化に関しては、具体的にはこの記事後半の「英語学習の具体的な方法・英語学習を習慣化するための方法」で紹介しています。

TOEIC200点レベル、TOEIC300点レベルの初級者の方は、まずは300時間を目安に英語学習に取り組んで下さい。

英語学習の具体的な方法・英語学習を習慣化するための方法

ここまで紹介した英語参考書の具体的な使用方法、英語学習を習慣化するための方法をここから記します。 【推奨する学習手順】

  1. 音読に使用する英語の文章(記事)を用意する
  2. 英文を見ずに、最低2回を聴き込む
  3. 記事を精読と品詞分解し、「リスニング2回+音読2回」を1セットとし、それを5セット分繰り返す。

さらに詳しい学習法は『英語音読の重要性|英語学習の基礎段階においては音読の量が重要である事。』の記事を確認下さい。

また、リスニング学習を重点的に行えば、1日3時間の英語学習は簡単に出来ます。

対策本を使ってTOEIC LR試験の傾向分析を

Educational Testing Service『公式TOEIC Listening&Reading 問題集3』/ Educational Testing Service『公式Listening&Reading 問題集2』/ Educational Testing Service『Listening&Reading トレーニング リスニング編』

TOEIC300点レベルで紹介した『公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編』が終わったら、引き続きTOEIC LR試験の対策本での学習を続けましょう。 TOEIC対策を始めたばかりであれば、傾向分析には400~600点レベルの初心者向け対策本がおすすめです。

TOEIC試験での時間配分と解法テクニック

TOEIC L&R試験においては英語の聞き取り、読み取りという根本的な英語力も測られる試験ですが、同時に短時間でどれだけの情報を処理できるのかの指標である情報処理能力も測られています。

つまりTOEICで高得点を得るためには「基礎英語力」+「情報処理能力」が必要とされるのです。

ここでは情報処理能力とも密接に結びついている、TOEIC 試験での時間配分とその解答テクニックを紹介します。 同時に脳で処理することのできる情報量は限られているので、もし基礎的な英語力が不足していて、英文を読み解くこと自体に苦労するようでしたら、文章全体の情報を処理するために使える頭の空き容量の余裕は少なくなってしまいます。その状態においては情報処理が困難になります。

(左)英文を読むこと自体に気がまわり、情報処理をするだけの余力がない状態。長文を読むのは困難になる。(右)それほど英文読解に必死にならなくても理解できる、余裕がある状態。文章の内容も把握できる。

逆に基礎的な処理力が十分にあり、英語を読み込むこと自体は楽にできる状態でしたら、情報の処理だけに脳の処理能力を集中させることができ、より文章の理解、設問への解答が簡単になります。

TOEIC試験において情報処理能力を上げるための方法は2つあります。

まずは、上記で述べたように英語の基礎力を上げて、情報処理に使える余力を増やす(=基礎英語力を上げる)こと。そして、もう1つが情報処理を助けるための戦略・情報(=時間配分と解答テクニック)を知っておくことです。 ではその戦略・情報であるTOEIC 試験における時間配分と解答テクニックを以下の記事で見ていきましょう!

TOEIC LR試験は留学や就職・転職の評価指標にも

就職・転職や留学のためにTOEIC試験受験を決めたという方も多いのではないでしょうか。

TOEIC試験は英語力を示す指標として広く認知されており、TOEICスコアという明確な数値があれば英語力を客観的に示すことができます。 就職・転職活動においては、TOEIC LR試験で600点以上の点数があれば、「この人は最低限、英語で業務をすることが出来る」と判断され、評価されるでしょう。

【TOEICの結果と就職活動や転職活動に関する記事一覧】

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この記事を書いた人

はるじぇー (株)ハルヨン 代表取締役

英語学習に関する有益な情報を発信しています。

得意分野は
「中学・高校英文法の学び直し」
「英会話に繋げるTOEIC L&R試験の勉強法」
です。

ツイッターは相互フォローの方針でやっているので、お気軽にフォロー下さい。

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