2026年10月28日、留学エージェント「夢カナ留学」を運営する株式会社Jstyleに対して、消費者庁が3か月の業務停止命令を公表しました。
ところが、そのわずか5日後の11月2日、iput株式会社という別会社が、夢カナ留学のイベント運営を支援していることをプレスリリースで発表しました。
行政処分を受けた直後に、なぜ別会社が夢カナ留学の活動を積極的に紹介したのでしょうか。
調べてみると、さらに興味深い事実が分かりました。iput株式会社は、夢カナ留学をランキング1位に推薦する比較サイト「ワーホリdays」の運営会社でもあったのです。
つまり、夢カナ留学をおすすめするランキングサイトの運営会社が、夢カナ留学の業務も支援していたことになります。
この記事では、行政処分直後のプレスリリース、iput株式会社の事業内容、ランキングサイトの実態を調べ、両社の関係と残された疑問を整理します。
行政処分からわずか5日後、夢カナ留学に不可解な動き
Jstyleに3か月の業務停止命令
2026年10月28日、消費者庁は夢カナ留学を運営する株式会社Jstyleに対する行政処分を公表しました。
問題となったのは、留学サービスなどの契約に関する勧誘方法です。
消費者庁は、特定商取引法に違反する行為があったとして、同社に対して3か月間、訪問販売・電話勧誘販売に関する一部業務の停止を命じました。
また、Jstyleの代表者である安藤和隆氏に対しても、訪問販売・電話勧誘販売に関する3か月の業務禁止命令が出されています。
停止対象となったのは、主に勧誘、申込受付、契約締結に関する業務です。
なお、すべての事業活動が禁止されたわけではなく、既存契約者へのサービス提供などは業務停止命令の対象外です。
今回の行政処分では、勧誘目的を隠した無料相談への誘導や、クーリング・オフに関する虚偽説明などが認定されました。
行政処分の詳しい内容に加え、夢カナ留学の高額な契約料金、解約トラブルに関する口コミ、事前学習サービス「夢カナEnglish」の問題点を別記事で詳しく検証しています。
▶ 関連記事:夢カナ留学に行政処分!高額な事前学習「夢カナEnglish」の問題点も検証

11月2日、別会社が夢カナ留学の支援を発表
行政処分が公表された5日後の11月2日、PR TIMESに次のプレスリリースが掲載されました。
「ワーホリ」事業者による、支援イベントの企画・運営をサポート:夢カナ留学

発表したのはJstyleではなく、iput株式会社です。
内容は、夢カナ留学の契約者向けイベントの企画・運営を支援しているというものです。
紹介された活動には、国別相談会、英語ゲーム、交流会、英語学習相談、オンライン交流、渡航前オリエンテーションなどがあります。
2026年8月に開催されたイベントの実績も紹介されています。
なぜ行政処分の直後だったのか?
ここで疑問に思うのは、発表のタイミングです。8月のイベント実績を含む内容が、なぜ行政処分からわずか5日後に発表されたのでしょうか。
もちろん、以前から予定されていたプレスリリースだった可能性もあります。しかし、行政処分によって夢カナ留学への不信感が高まる時期に、別会社がサービスの魅力を紹介したことは事実です。
この発表には、行政処分後も夢カナ留学のサービスが継続していることをアピールする意図があったのでしょうか。
その可能性を考えるうえで、まずiput株式会社の事業内容を確認してみます。
支援会社iputの正体は、留学エージェントのランキングサイト運営会社だった
iput株式会社とは?
iput株式会社は、東京都港区赤坂に拠点を置くWebマーケティング会社です。
公式サイトによると、SEO対策、Web広告、メディア運営、集客支援などを手がけています。

代表取締役CEOは浅野友彰氏です。
浅野氏は慶應義塾大学商学部を卒業後、楽天株式会社に入社。2015年に退職して起業し、2019年にiput株式会社の取締役、2025年に代表取締役に就任しています。
また、アート関連事業を手がけるthisis株式会社の代表取締役も務めています。
経歴を見る限り、Webを活用した事業開発やマーケティングに関わってきた経営者です。
iputが運営する「ワーホリdays」
iputの公式サイトを調べると、「ワーホリdays」というサービスが掲載されています。

ワーホリdaysは、ワーキングホリデーや留学を検討している人に向けて、留学エージェントを比較・紹介するサイトです。
iputの公式サイトでは、同メディアの実績として月間1万PV、月間100件の面談数を紹介しています。
ここまでは、一般的な留学エージェントの比較サイトと変わりません。しかし、実際のランキングを確認すると、驚くべきことが分かります。
夢カナ留学がランキング1位
2026年11月4日に確認したワーホリdaysのランキングでは、次のような順位になっていました。
| 順位 | 留学エージェント |
|---|---|
| 1位 | 夢カナ留学 |
| 2位 | タビケン留学 |
| 3位 | スマ留 |
| 4位 | StudyIn |
| 5位 | 留学ジャーナル |
| 6位 | 留学情報館 |
| 7位 | 成功する留学 |
行政処分を受けた夢カナ留学が、ランキング1位として紹介されていたのです。
しかも、このランキングサイトを運営しているiputは、夢カナ留学のイベント企画・運営を支援している会社でもあります。
比較サイトの運営会社が、比較対象となる企業と取引関係にあること自体は違法ではありません。
しかし、その関係が読者に十分説明されていなければ、ランキングを中立的な第三者による評価だと受け取る人もいるでしょう。
夢カナ留学を支援している会社が、夢カナ留学を1位に推薦する。この関係をランキングの読者は知っているのでしょうか。
行政処分を受けてもランキング1位!読者に知らせなくてよいのか?
行政処分についての説明が見当たらない
2026年11月4日に確認したワーホリdaysのトップページでは、夢カナ留学が1位として紹介され、無料カウンセリングへの誘導も設置されていました。

一方、Jstyleに対する行政処分についての説明は、取得したページ本文からは確認できませんでした。
留学エージェントを選ぶ読者にとって、業務停止命令は重要な判断材料です。
特に、行政処分の対象となった勧誘方法や契約手続きは、これから留学を申し込もうとしている人に直接関係します。
ランキング1位という評価だけを見て無料カウンセリングを申し込む人が、行政処分の事実を知らない可能性もあります。
ランキングの順位は何を基準に決めている?
ワーホリdaysには、Google口コミ評価について「レビュー数×平均評価」で算出するという説明があります。
しかし、この計算方法だけでは、総合ランキングの順位を再現できません。
例えば、サイトに掲載されていた数値を使うと、次のようになります。
| エージェント | Google評価 | 口コミ件数 | 評価×件数 |
|---|---|---|---|
| 夢カナ留学 | 4.8 | 2,044件 | 9,811.2 |
| タビケン留学 | 4.9 | 67件 | 328.3 |
| スマ留 | 4.2 | 1,201件 | 5,044.2 |
単純に掛け算した結果では、スマ留がタビケン留学を大きく上回ります。
ところが、実際のランキングではタビケン留学が2位、スマ留が3位です。
もちろん、口コミ以外の要素を評価している可能性はあります。
問題は、どの項目を、どのような比重で評価して順位を決めたのかが、読者に十分伝わらないことです。
そして、ランキング1位の企業と運営会社に業務上の関係がある以上、評価基準の透明性はなおさら重要になります。
就職率98.4%、他社より200万円多く稼げる?宣伝文句の根拠を検証
ワーホリdaysでは、夢カナ留学の魅力として、いくつもの印象的な数字が紹介されています。
約3週間以内の就職率98.4%
サイトでは、夢カナ留学の強みとして、ワーホリ先で約3週間以内に仕事が決まる割合が98.4%という数字を紹介しています。
ただし、これは夢カナ留学の利用者全員を対象とした数字ではありません。
サイト内の説明によれば、夢カナEnglishで中級以上のレベルに達し、一定の受講条件などを満たした人が対象です。
つまり、英語初心者が夢カナ留学を利用すれば、98.4%の確率で3週間以内に就職できるという意味ではありません。
就職率を比較するには、対象者の人数、英語力、渡航先、調査期間なども確認する必要があります。
他社より約200万円多く稼げる?
さらに、夢カナ留学を利用すると他社より約200万円多く稼げるという趣旨の宣伝も掲載されています。
しかし、今回確認したページでは、比較対象となる留学エージェントや、収入差を算出した具体的な条件を十分に確認できませんでした。
ワーキングホリデー中の収入は、渡航先、職種、英語力、労働時間、滞在期間などによって大きく変わります。
200万円という数字だけを見ても、それが留学エージェントの違いによるものなのかは判断できません。
全エージェントで最も安い?
ワーホリdaysでは、夢カナ留学について、全エージェントの中でトータルコストが最も安いという趣旨の紹介もあります。
ところが、比較対象となる他社の費用には、問い合わせが必要な項目もあります。
同じ渡航先、同じ期間、同じ授業内容、同じサポート条件で比較した総費用が提示されていなければ、「最も安い」という結論を読者自身が検証することは困難です。
就職率98.4%、収入差200万円、トータルコスト最安。いずれも強力な宣伝文句ですが、数字が大きいほど、その算出条件を明確にする必要があります。
行政処分の悪評を消すため?別会社によるプレスリリースの狙い
iputはSEO・広告・広報を手がける会社
iputの事業内容を考えると、11月2日のプレスリリースには別の見方もできます。
同社はSEO対策やWeb広告、メディア運営などを手がけています。
こうした会社であれば、企業名で検索したときに、どのような情報が表示されるかがブランドイメージに影響することを理解しているはずです。
行政処分のニュースが公表された直後に、夢カナ留学の活動を紹介する好意的なニュースが発信されれば、検索する人の目に触れる情報が増える可能性があります。
行政処分のニュースを目立たなくする狙いだった?
ここで考えられる仮説の一つが、行政処分によるイメージ悪化を抑えるための広報活動です。
ただし、今回のプレスリリースが検索結果の順位や表示内容を実際に変えたことは確認できていません。
また、iputは以前から、自社メディアや他社サービスに関するプレスリリースを発表しています。
例えば、スマートフォンの買取サービス「スマホコム」では、iputがWebサイト運営を担当し、別会社が実際の買取業務を担当するという事業形態を紹介しています。
事故治療ナビやiPhone買取市場などでも、集客やサービス改善に関する情報を発信しています。
したがって、他社サービスの実績をiput名義で発表すること自体は、同社にとって特別な行動ではありません。
それでも気になる発表時期
今回の夢カナ留学に関する発表では、2026年8月のイベント実績が紹介されています。
一方、プレスリリースが公開されたのは11月2日です。
行政処分の公表から5日後というタイミングが、以前から決まっていたものなのか、行政処分を受けて判断されたものなのかは分かっていません。
行政処分直後の広報対策だった可能性は考えられますが、現時点で確認できるのは発表時期が近接しているという事実までです。
別会社を使えば行政処分を回避できる?夢カナ留学の集客経路を検証
業務停止命令はすべての営業活動を禁止するものではない
Jstyleに対する業務停止命令は、訪問販売・電話勧誘販売に関する特定の業務を対象としています。
そのため、既存契約者向けのイベントを開催したり、外部企業がイベント運営を支援したりすることが、直ちに行政処分違反になるわけではありません。
また、比較サイトに広告を掲載することや、Webサイトから無料相談へ誘導することも、それだけで禁止された勧誘に該当するとは限りません。
重要なのは、無料相談の後に誰がどのような方法で勧誘し、契約を締結するのかという点です。
さらに、iputが紹介したイベントの中には、夢カナ留学の契約者以外も参加できるものがありました。
こうしたイベントは、新規顧客との接点にもなり得ます。行政処分を受けたJstyleと、イベントを支援するiputが、新規顧客の獲得においてどのような役割分担をしているのかも気になるところです。
ランキングサイトからの集客は続いている
ワーホリdaysでは、夢カナ留学の無料カウンセリングへの誘導が確認できます。その誘導には、サイト内に設置された専用の中継URLが使用されています。
一方、他社へのリンクには、外部アフィリエイトサービスを経由するものもあります。
この違いだけで不適切な送客が行われているとは判断できません。
ただし、iputが夢カナ留学のイベント運営を支援する一方で、ランキングサイトから見込み客を送客しているという関係は、確認する価値があります。
iputが契約業務まで代行しているのか?
行政処分との関係で最も重要なのは、iputがどこまで業務に関与しているかです。
現在確認できるのは、イベントの企画・運営支援と、ランキングサイトの運営です。
一方、iputが夢カナ留学の営業担当者を管理している、契約を代行している、Jstyleに禁止された勧誘業務を引き受けているといった事実は確認できていません。
したがって、行政処分を回避するために別会社を利用していると結論づけることはできません。
それでも、ランキングサイトの運営会社が夢カナ留学の業務を支援している以上、集客から契約までの役割分担は明らかにしてほしいところです。
まとめ:夢カナ留学を推薦する会社が、夢カナ留学を支援するという構図
今回の調査で分かったのは、次のような関係です。
- 2026年10月28日、夢カナ留学の運営会社Jstyleに対する3か月の業務停止命令が公表された。
- その5日後、iput株式会社が夢カナ留学のイベント運営支援をプレスリリースで発表した。
- iputはSEO・広告・Webメディア運営を手がけるマーケティング会社である。
- iputが運営する「ワーホリdays」では、夢カナ留学がランキング1位に掲載されていた。
- 同ランキングでは、行政処分についての説明や、順位を決める評価基準に不明確な点が残っている。
行政処分の直後に別会社が支援を発表した理由は、まだ明らかになっていません。
また、行政処分逃れを目的とした業務移管が行われた証拠も確認されていません。
しかし、今回の問題は行政処分逃れの有無だけではありません。
留学エージェントを比較するランキングサイトの運営会社が、ランキング1位の企業のイベント企画・運営を支援している。その関係を読者が知らないまま、ランキングを信頼して申し込んでしまう可能性があることです。
留学エージェントのランキングは、一見すると第三者による客観的な評価に見えます。
しかし、ランキングを作成する会社がどのような事業を行い、紹介先とどのような取引関係にあるのかによって、その情報の受け止め方は変わります。
これから留学を検討する人には、順位や口コミ評価だけでなく、ランキングの運営会社、評価基準、紹介先との関係まで確認してほしいと思います。
留学エージェントのランキングを信じる前に、英語学習の相談を
今回の記事で紹介したように、留学エージェントのランキングサイトは、必ずしも中立的な立場で作られているとは限りません。
また、高額な留学費用を支払ったからといって、英語力が伸びるわけでもありません。大切なのは、留学先の知名度や宣伝文句ではなく、自分の英語力に合った学習方法と、留学前からの準備です。
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