Instagramを見ていると、オンライン英会話QQEnglish(QQイングリッシュ)の広告が表示されました。広告には大きく、「4倍速で英語を習得へ」と書かれています。

しかも、単なるカランメソッドの紹介広告ではありません。QQEnglishの英語コーチング「Boost Coaching」の広告です。
広告をクリックした先のBoost Coaching公式ページにも、「カランメソッドを用いた、4倍速の学習プログラム」と書かれています。さらにFAQでは、カランメソッドについて「通常の英会話学習と比べ4倍速で習得できることが立証されており」と説明しています。
4倍速。かなり強烈な数字です。
もし本当に通常の英語学習と比較して4倍の速度で英語力が伸びるのであれば、私が運営するハルヨン/語学学校バックワイズでも、とっくにカランメソッドを採用しています。通常2,000時間必要な英語学習が500時間で済むのであれば、採用しない理由がありません。
そこでこの記事では、カランメソッドが好きか嫌いか、楽しいかつまらないか、といった話はいったん横に置きます。見るのは一つだけです。
QQEnglishが宣伝している「4倍速」は、本当に数字で証明されているのか。
QQEnglish自身が公開している実証実験、Boost CoachingのVERSANTスコア、現在の事業規模、カランメソッド受講生の口コミ・成果を調べました。
QQEnglishはカランメソッドを「4倍速」と宣伝している
カランメソッドは、教師から高速で質問され、それに生徒がすぐ英語で回答することを繰り返す英語学習法です。QQEnglishはカランメソッドの正式認定校で、オンライン英会話だけでなく、フィリピン・セブ島留学でもカランメソッドを提供しています。
現在のBoost Coaching公式ページでは、「カランメソッドを用いた、4倍速の学習プログラム」と紹介されています。FAQはさらに明確で、「通常の英会話学習と比べ4倍速で習得できることが立証されており」と説明しています。
つまり「4倍速」は、口コミサイトや受講生が勝手に言っている話ではありません。QQEnglish自身が現在も広告と販売ページで使用している数字です。
それなら話は簡単です。本当に4倍速なのか、数字を見ればいい。
QQEnglishのBoost CoachingではVERSANT平均10点アップ
今回、広告のリンク先になっていたBoost Coachingのページを確認して、一つ重要なことが分かりました。QQEnglishは学習成果をまったく測っていないわけではありません。
Boost Coachingでは受講開始時などにVERSANTを利用しており、公式ページでは「VERSANT平均10点UP」「最大26点UP」という成果を掲載しています。
これはきちんと評価すべき数字です。「英語が話しやすくなった気がする」という感想だけではなく、外部試験を使って受講生の変化を測っている。ここまではいい。
しかし、最初の疑問に戻ります。
この「平均10点アップ」のどこが4倍速なのでしょうか。
例えば、同程度の英語力から始めた学習者について「通常の英会話学習90日=VERSANT平均2.5点アップ」「Boost Coaching90日=平均10点アップ」という結果が出ているのであれば、「4倍」という主張にはかなり説得力が出ます。
しかし、Boost Coachingのページに掲載されているのは、受講生のVERSANTが平均10点、最大26点上昇したという成果です。通常の英会話学習と比較して4倍だったことを示す数字ではありません。
平均10点アップは成果です。最大26点アップも成果です。しかし、成果が出たことと4倍速だったことは別の話です。
カランメソッドの「4倍速」の根拠は何なのか
では、QQEnglishが言う「4倍速」はどこから来たのでしょうか。カランメソッドについては、通常の英語学習より短い時間で英語を習得できる学習法として説明されており、QQEnglishもその「4倍速」を広告に使用しています。
ただ、私が知りたいのは宣伝文句ではありません。実際にQQEnglishの受講生を使って、他の英語学習方法より4倍速く英語力が伸びたことが確認されているのか。
そこでQQEnglishが日本人学習者を対象に行った実証実験を確認しました。
QQEnglishが紹介する実証実験は2011年の明治大学学生21名
QQEnglishは明治大学「文明とマネジメント研究所」と提携し、2011年に大学生21名を対象とした実証実験を行っています。QQEnglish公式サイトによると、学生21名が最大3か月にわたってレッスンを受講し、その学習効果をTOEICで測定しました。
結果としてQQEnglishが紹介しているのは、TOEIC平均110点アップ、最大250点アップ、21名全員がスコアアップという数字です。
これは英語学習の成果としては悪い数字ではありません。しかし、この記事で検証しているのは「英語を勉強するとTOEICが上がるのか」ではありません。「他の英語学習より4倍速いのか」です。
大学生21名が英語を学習してTOEICが平均110点上がった。だから何なのでしょうか。
私が知りたいのは、同じ時間を別の英語学習に使った場合と比較して、本当に4倍の差が出たのかです。カランメソッドを受講した人と、別の方法で同じ時間英語を学習した人を比較して初めて、「カランメソッドの方が何倍速かった」という話ができます。
QQEnglish創業者自身が「4倍のスピードであるかは証明できませんでした」と書いている
さらに調べていくと、非常に重要な記述が見つかりました。
QQEnglish創業者の藤岡頼光氏自身が、明治大学との実証実験について振り返ったQQEnglish公式記事の中で、「『4倍のスピード』であるかは証明できませんでした」と書いています。
これは私が言っているのではありません。QQEnglish創業者自身が書いています。
その上で、学生21名のTOEICが平均110点上昇し、最大250点上昇したことから、英語学習としての効果は確認できたという趣旨の説明をしています。
ここは明確に分けなければいけません。英語を学習してTOEICが平均110点上がった。これは結果です。他の英語学習より4倍速く英語力が伸びた。これは別の主張です。
そしてQQEnglish創業者自身が、明治大学との実証実験では「4倍のスピード」は証明できなかったと書いています。それなら、その後に4倍速を証明する実験をすればいい。
ところが2026年現在、QQEnglishのBoost Coaching販売ページには、「通常の英会話学習と比べ4倍速で習得できることが立証されており」と書かれています。
では、その後に「4倍速」を立証した比較データはどこにあるのでしょうか。
QQEnglishは利用者80万人・累計5,000万レッスンまで成長した
2011年当時、QQEnglishがまだ小さなオンライン英会話スクールで、十分な受講生データを集められなかったのであれば理解できます。しかし、それから15年が経過しました。
QQEnglishは2026年4月、累計レッスン数が5,000万回を突破したと発表しています。同社が公表している数字では、世界累計利用者80万人、累計5,000万レッスン、世界30カ国以上の受講生、1日約3万レッスン、フィリピン人教師3,000人規模という巨大なオンライン英会話サービスになっています。
80万人。5,000万レッスンです。
それでも、QQEnglishがカランメソッドの効果を説明する際に現在も紹介している日本人対象の代表的な実証データは、2011年の明治大学学生21名です。
15年間、何をやっていたのでしょうか。
これだけ大量のオンライン英会話レッスンを提供してきたのであれば、カランメソッドを100時間、200時間、300時間受講した人たちの英語力がどのように変化したのか、大量のデータを集められたはずです。
さらに、カランメソッドを100時間受講した人、通常のオンライン英会話を100時間受講した人、別の方法で100時間英語を学習した人を比較すれば、カランメソッドが本当に他の英語学習より速いのか検証できます。
4倍速と言うのであれば、まさにそこを測る必要があります。
2011年と現在ではTOEICの出題形式も変わっている
もう一つ気になるのが、明治大学の実証実験が行われたのが2011年だということです。TOEIC L&Rは2016年5月に出題形式が変更されました。
現在は3人による会話、図表と会話を組み合わせた問題、話し手の意図を問う問題、テキストメッセージやチャット形式の文章、3つの文書を読んで答える問題なども出題されます。
なお、TOEICを運営するIIBCは、2016年の変更について出題形式は変わったものの、テストの難易度は変わっていないという立場です。
一方、私は長年TOEIC公式問題集を使って英語を教えてきましたが、実際に教材として扱ってきた私の感覚では、現在のTOEICは2011年当時より100点程度は難しくなっていると考えています。これは統計的に証明された数字ではなく、長年TOEICを教えてきた私自身の評価です。
いずれにしても、2011年と2026年ではTOEICの出題形式が違います。だったら現在のTOEICでもう一度検証すればいい。21名ではなく、100名でも1,000名でもいいでしょう。
QQEnglishには80万人の利用者がいるのですから。
QQEnglishのカランメソッド受講生の口コミ・評判も調べてみた
次に、QQEnglish公式サイトに掲載されているカランメソッド受講生の口コミ・体験談も確認しました。
例えば、受講歴4か月の人は「英語に自分から触れる機会が自然と増えた」、TOEIC740点から始めて6か月受講した人は「英語の瞬発力は向上しつつあります」、受講歴1年の人は「英語をそのまま理解できるようになってきた」、TOEIC785点から始めて3年間受講した人は「以前より英語がとっさに出るようになった」と話しています。
こうした受講生本人の感想を否定する理由はありません。しかし、今回確認しているのは満足度ではありません。
4倍速です。
「瞬発力が向上した」「英語がとっさに出るようになった」「英語をそのまま理解できるようになった」。これらは受講生個人の定性的な感想です。「他の英語学習より4倍速く英語力が伸びた」という定量的な結果ではありません。
QQEnglishが宣伝しているのが「楽しく英語を学べます」「英語への抵抗が減ります」「英語の瞬発力を鍛えます」という内容なら、こうした口コミでいいでしょう。
しかしQQEnglishは、「4倍速」という具体的な数字を使っています。
4倍は感想ではありません。数字です。だったら感想ではなく、数字を出してください。
カランメソッドを4年半・235時間受講して完走した人もいる
QQEnglish公式ブログには、カランメソッドのStage 12まで約4年半かけて完走した受講生の体験談も掲載されています。総学習時間は235時間です。
もちろん、4年半かかったからカランメソッドに効果がない、という話ではありません。問題はそこではありません。知りたいのは、別の英語学習方法なら、同じ英語力に到達するまで何時間必要だったのかということです。
例えば通常の方法なら940時間必要な英語力に、カランメソッドなら235時間で到達したのであれば、まさに4倍速です。しかし、その比較がなければ分かりません。
「235時間受講した」という数字だけでは、4倍速の証明にはなりません。
TOEIC600点台から915点になったQQEnglish受講生もいる
QQEnglish公式サイトには、TOEIC600点台から915点まで伸びたTomoさんという受講生も紹介されています。これは数字として確認できる成果なので、無視するべきではありません。
ただし、受講歴は4年間です。カリキュラムにはカランメソッドだけでなくIELTSスピーキングも含まれており、本人もQQEnglishで試験対策授業を受けたと説明しています。その結果、TOEIC915点、IELTS OA6.0、英検準1級合格という成果を出しています。
これは立派な成果です。しかし、カランメソッドによって4倍速でTOEIC600点台から915点になったとは言えません。複数の学習を4年間行った結果だからです。
ここでも「4倍速」を示す比較データにはなりません。
VERSANTまで使っているのに、なぜ「4倍速」を比較しないのか
ここで、最初に紹介したBoost Coachingに戻ります。
QQEnglishは現在、VERSANTという外部試験を使い、Boost Coaching受講生について平均10点アップ・最大26点アップという成果まで公表しています。
つまり、「英語力を数字で測れない」わけではありません。すでに測っています。
だからこそ、さらに疑問が大きくなります。
なぜ「4倍速」を測らないのでしょうか。
例えば同程度の英語力の学習者を集めて、Boost Coaching受講者100人と通常の英会話学習者100人を比較する。同じ学習時間でVERSANTを受験すれば、少なくともスピーキングについてカランメソッドがどの程度速いのか具体的に比較できます。
QQEnglishはすでにVERSANTを利用しています。受講前後の変化も測っています。あと必要なのは比較対象です。
それをやらずに「VERSANT平均10点アップ」という成果と「4倍速」という宣伝文句を同じページに並べても、平均10点アップが4倍速だったことにはなりません。
レアジョブはPROGOSでスピーキング力を数値化している
同じオンライン英会話業界を見ると、レアジョブは2020年に英語スピーキング力測定システム「PROGOS」を開発しました。PROGOSはCEFRに準拠し、英語スピーキング力を定量的に測定するための試験です。
2024年には、2020年6月以降に蓄積した延べ66万人分の受験データを使い、日本人の英語スピーキング力について分析結果まで公表しています。
ここまで大規模な試験を自社開発するオンライン英会話会社もあります。もちろんQQEnglishがPROGOSのような試験を新たに作る必要はありません。すでにVERSANTを使っているのですから。
TOEIC、英検、IELTS、ケンブリッジ英語検定などの外部試験を補助的に利用することもできます。方法はいくらでもあります。
そしてQQEnglish自身が宣伝しているのは「英語力が伸びます」ではありません。
「通常の英会話学習と比べ4倍速」です。
だったら比較すればいい。受講前に測る。一定時間学習した後に測る。通常の英会話学習をした人と比較する。
世界累計80万人、累計5,000万レッスン。しかもVERSANTまで利用しています。測ろうと思えば、とっくに測れたでしょう。
「4倍速」と宣伝するなら「4倍速」を数字で証明してください
ここまでQQEnglishが公開しているカランメソッドの実証実験、Boost CoachingのVERSANTスコア、現在の事業規模、受講生の口コミ・成果を確認してきました。
QQEnglishは2026年現在も、広告で「4倍速で英語を習得へ」と宣伝しています。広告から移動するBoost Coachingの販売ページでも「カランメソッドを用いた、4倍速の学習プログラム」と説明し、FAQでは「通常の英会話学習と比べ4倍速で習得できることが立証されており」とまで書いています。
ところが、Boost Coachingで示されている成果はVERSANT平均10点アップ、最大26点アップです。これは成果ですが、通常の英会話学習と比較した4倍速の数字ではありません。
日本人を対象とした代表的な実証実験として紹介されている2011年の明治大学学生21名についても、TOEIC平均110点、最大250点アップという成果は出ています。しかし、QQEnglish創業者自身が、この実験について「『4倍のスピード』であるかは証明できませんでした」と書いています。
そこから15年。QQEnglishは世界累計利用者80万人、累計5,000万レッスンという規模まで成長しました。現在ではVERSANTまで利用して受講生の英語力を測定しています。
それでも、「通常の英会話学習と比較して、本当に4倍速だった」ことを示す現在の比較データは、今回QQEnglish公式サイトを調べた範囲では確認できませんでした。
一方、広告には大きく「4倍速で英語を習得へ」と書かれています。
「4倍速」という言葉だけは非常に勇ましい。しかし、その4倍を示す結果が見当たりません。
4倍速という具体的な数字を使って英語学習サービスを販売するのであれば、4倍速という数字を証明してください。
2011年から15年。世界累計80万人。累計5,000万レッスン。そして今ではVERSANTまで使っている。
もう十分な時間、受講生数、測定手段がそろっているはずです。
【付録】カランメソッドを実際に受講した私の感想
最後に、ここまでの数字の検証とは別に、私自身が実際にカランメソッドを受講した感想を書いておきます。
カランメソッドでは、教師がかなり速いスピードで質問し、生徒はすぐに英語で回答します。特徴的なのが、教師が同じ質問を2回繰り返すことです。
これは英語を一度で聞き取れない初級者には意味があると思います。また、自分では予習・復習をほとんどしない人を、強制的に英語を聞いて話す状態にするという点でも使い道はあります。その意味で、私はカランメソッドを自分で十分に予習・復習できない英語初級者には使い道があるレッスンだと考えています。
一方、英文法・英単語・英語表現を自分でインプットできる中級者以上には、私は不要だと考えています。私自身が受講したときも、同じ質問を2回繰り返されることが、ただただだるかったです。一度で聞き取れるのであれば、なぜ同じ質問をもう一度聞かなければならないのでしょうか。
また、カランメソッドはレッスンの進め方や回答方法がかなり決められています。中級者以上であれば、その時間を使って自分が分からないことを教師に質問したり、自分で覚えた英文法・英単語・英語表現を実際の会話で使ったりした方がいい。
自分一人でできるインプットは自分でする。教師との時間には、教師としかできないことをする。
これが私の基本的な考え方です。
そして、これは単なる好き嫌いの話ではありません。カランメソッドで本当に英語力が4倍速く伸びるのであれば、バックワイズでもとっくに採用しています。
生徒の英語力が本当に4倍速く伸びるのであれば、私自身がカランメソッドを好きか嫌いかなど、どうでもいいです。結果が出る方法を採用します。
だからこそQQEnglishには聞きたい。
4倍速と言うなら、4倍速になった結果を出してください。感想ではなく、数字で。
なお、QQEnglishの広告表現については、教師の「国際資格TESOL」という宣伝についても別記事で検証しています。

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まとまった期間を英語学習に使える方には、「フィリピン留学で最も英語力を伸ばせる語学学校」バックワイズがあります。ハルヨンとバックワイズでは共通の学習カリキュラムを使用しているため、日本でハルヨンのレッスンを受講し、そのままフィリピン留学につなげることもできます。
実際にセイキさんは、日本で12週間の事前学習を行った後、8週間のフィリピン留学に参加しました。
TOEIC595点 → 830点(+235点)
セイキさんの体験談

マヒロさんは中学1年生の英文法から学び直し、日本で24週間の事前学習を行った後、16週間のフィリピン留学に参加しました。
TOEIC250点 → 675点(+425点)
マヒロさんの体験談

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