TOEICスコアシートを分析せよ。公式認定証の見方&各パートで求められる力

英語学習者の皆さん、こんにちは。

TOEIC受験後に届くスコアシート(アビメ:Abilities Meausred)、しっかりチェックできていますか?
そこには今後の英語学習の参考になる情報が書かれているんです。

「スコアだけ確認している」「よくわからないから読んでいない」という方、この記事を参考にぜひスコアシートをじっくり読んでみてくださいね。

目次

TOEICの各パートで求められる基礎英語力

ではまず、TOEICの各パートで求められる基礎英語力を確認しましょう。

TOEIC part1で求められる基礎英語力

『TOEICテスト 新公式問題集 Vol.6』p.72より

part1では上の写真のような写真描写問題が出題されます。

ここで求められる基礎英語力は短い文章を聴き取るリスニング力です。リスニング力を構成するポイントは以下の2つです。

  1. 単語の知識(読み上げられる英文中の単語を知っている)
  2. 単語を音として認識(知っている単語を英語の音として認識できる)

基礎的な文法事項と単語の知識が定着していて、かつその音を認識できるかが大切です。

TOEIC part2で求められる基礎英語力

part2で測られているのは短い文のリスニング能力、および会話の中での応答能力。

この「会話の中での応答能力」を厄介に感じ、part2に苦手意識を持つ方も多いはず。

part1においても求められていた能力に加え、会話の中での応答力も試されているので、どの選択肢であれば会話の流れとして不自然ではないか流れを見極めることも必要です。

TOEIC part3で求められる基礎英語力

part3で測られている基礎英語力はある程度の長文のリスニング能力、および会話を追う力です。part1,2より長い文章が読み上げられるので、その内容を瞬時に理解する瞬発力が必要です。

さらにこのパートの会話の内容を一層つかみにくくにしているのは「会話特有のカジュアルな表現」。

会話で行われるテンポのよいやり取りは、口語的な表現や省略によって生み出されています。

それは文の一部を削ぎ落とすことでもあるので、慣れていなければ意味がつかみにくい場合もあります。そのため、口語表現に慣れる練習が必要です。

また、問題用紙に記載されている問題文と選択肢を読む必要もありますので、速読力も大切です。これはpart4でも同様です。

TOEIC part4で求められる基礎英語力

part4で測られている基礎英語力はある程度の長文のリスニング能力、そして難易度が高い語彙の多い文章のリスニング能力です。

このパートにおいては同じく長文のリスニング能力が必要とされたpart3と比較して、公式の案内などが読み上げられるので難しい語彙が使われることが増えています。

これにより、長文を聞き取れる能力にプラスしてやや難しめの内容の長文をすぐに理解できる能力、すなわち速読力が必要とされます。

TOEIC part5で求められる基礎英語力

part5で測られている基礎英語力はずばり文法力および語彙力です。

「文法力」とは大まかに品詞、動詞の形(時制、態、分詞)、代名詞・関係代名詞・限定詞、前置詞・接続詞などの項目に関する能力です。

これらに関する正確な知識をチェックされるので、part5に苦手意識があるのなら基礎的な文法事項の理解と語彙数が十分でないということ。

基礎的な文法知識と語彙が足りていなければいくら問題集を解いても点数UPは望めません。

より複雑な出題がなされるpart6・7で高得点を狙うなら、まずpart5で高得点を取れるよう基礎知識を定着させましょう。

TOEIC part6で求められる基礎英語力

part6で測られているのは「part5と同様の文法力および語彙力」+「文脈を追って適切な文の流れを見定める力」です。

文法と語彙に加え、文脈を理解して回答する力が求められるのがpart6です。

例えばpart6ではこのような問題が出題されます。

126. The Epsilon 3000 camera allows beginning photographers to enjoy professional-quality equipment, as it is ___ sophisticated yet inexpensive.

(A) gradually (B) technologically (C) annually (D) productively

ー引用:『TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編』p.92より

こちらは正解が文脈に依存する問題です。同じ品詞が選択肢に並ぶので、文脈から最も文意と通じる単語を選択します。この場合文頭から読み始め、文脈を取る必要があります。

26. The Epsilon 3000 camera allows beginning photographers to enjoy professional-quality equipment, as it is ___ sophisticated yet inexpensive.

(A) gradually (B) technologically (C) annually (D) productively

ー引用:『TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編』p.92より

一方で上記の問題は空欄前後、“for an ___ in” の部分だけを見て解答することも可能なpart5の問題です。

part6ではこのような文法・単語の知識だけでは回答できない問題が出題されますので、文脈を理解して回答する練習が必要です。

TOEIC part7で求められる基礎英語力

part7でチェックされる基礎英語力は「長文を読むために必要な総合力」です。「総合力」を構成する要素は文法力、語彙力、速読力、情報処理能力です。

文法力、語彙力は1つ1つの文を正確に読んでいくために必須の能力。
この2つに関してはpart5,6においても必要とされ、測られていましたね。

part7では限られた時間内で大量の英文を読み込む必要があるので、速読力も重要です。

この速読力を決めるのも文法力語彙力です。
確かな文法力と語彙力があれば、それぞれの文を素早く読むことができるので段落などのまとまりのある文章を早く読むことが可能です。

もう1つ、part7において要求されるのが情報処理能力です。
この能力は他のリーディングパート(part5,6)ではそれほど重要ではありませんが、part7を解答するにあたっては非常に重要です。

短時間で大量の英文の情報を頭の中に保持しつつ、質問に答える作業には短期記憶、情報の取捨選択といった情報処理能力が必要不可欠です。脳のワーキングメモリに負荷がかかると言えるでしょう。

※ワーキングメモリ:短い間に記憶を蓄えて、日常の会話や作業に利用する処理メカニズム。

公式認定証(スコアシート)の見方&分析方法

では次にスコアシートについて見ていきましょう。
上の写真の上半分、箇条書きで書かれている部分がスコアディスクリプターズ(レベル別評価)です。
取得スコアをもとにした、英語運用能力上の長所が書かれています。

そして下半分がアビリティーズメジャード(項目別正答率)です。
リスニング4つ、リーディング5つの項目における正答率が書かれています。項目は以下のとおりです。

リスニングパートのアビリティーズメジャード

【リスニング・アビリティーズメジャードの項目】 【対応パート】
①短い会話、アナウンス、ナレーションなどの中で明確に述べられている情報をもとに要点、目的、基本的な文脈を推測できる 1、2
②長めの会話、アナウンス、ナレーションなどの中で明確に述べられている情報をもとに要点、目的、基本的な文脈を推測できる 3、4
③短い会話、アナウンス、ナレーションなどにおいて詳細が理解できる 1、2
④長めの会話、アナウンス、ナレーションなどにおいて詳細が理解できる 3、4

 

⑤フレーズや文から話し手の目的や暗示されている意味が理解できる 2、3、4

※項目の違い

まず、part1について。「TOEIC対策 疑問ひたすら100連発 by ヒロ前田」にわかりやすい例がありましたので、そちらを借りて説明します。
例えば上のような写真を描写するとしましょう。

She is spending time by herself.

これは①に該当します。この描写から写真をイメージしても「新聞」と「読んでいる」を想像できない、というより、はっきりとしたイメージを持てません。

She is reading a newspaper.

これは③に該当します。非常に直接的で具体的な描写ですから。写真を見ていなくても、この描写からイメージする写真は問題冊子に印刷されたものに似ているでしょう。

【出典】疑問65 リスニング 1番目と3番目の分母は

次に、part2について。例えば以下のように出題されたとします。

Where they’ll visit in Tokyo? (彼らは東京でどこを訪れるでしょうか?)    

ーーAsk them.        (彼らに聞いてください。)

ーーShinjuku Imperial Garden.   (新宿御苑でしょう。) 

この場合、上が項目①にあたります。質問者が求めている答えではない、はっきりとしない答えですよね。一方、下が項目③にあたります。直接的な、質問者が予期している答えです。

※項目②と④の違い

②と④の違いも①と③の違いと同様です。項目②で聞かれる内容は、音声をもとに推測する必要のあることです。例えば、”Where will  the party take place?”(どこでパーティは開かれるでしょうか?)など。音声をもとに最も適当な答えを選ばなくてはなりません。

対して項目で求められる答えは、リスニング音声で流れた事項について。”What is written in the newspaper?”(新聞には書かれていたことは何ですか?)などが例としてあげられます。設問を予め読んでおき、チェックするべきポイントを絞る+該当箇所の音声を聴き漏らさないことがポイントです。

リーディングパートのアビリティーズメジャード

【リーディング・アビリティーズメジャードの項目】 【対応パート】
①文書の中の情報をもとに推測できる 7
②文書の中の具体的な情報を見つけて理解できる 7
③ひとつの文書の中でまたは複数の文書間でちりばめられた情報を関連付けることができる 6、7
④語彙が理解できる 5、6、7
⑤文法が理解できる 5、6

このアビリティーズメジャードの表から、そのTOEIC試験において弱かった点が見えてきます。

例えば、リスニング問題においてpart2の得点率が悪かった場合。
アビリティーズメジャードの1の項目の正答率が高く、3の項目の得点率が低かったとしたら、強化すべきは「短い会話、アナウンス、ナレーションなどにおいて詳細が理解できる力」ということ。

このように弱点が見えてくると、対策も容易になりますね。
苦手な分野に重点を置いて効果的に学習を進めることが可能です。その際には、各パートの特徴と対策勉強法を参考にしてくださいね。

まとめ

スコアシートは点数だけ確認していたという方も、ぜひスコアシートの下半分に記載されているスコアディスクリプターズ(レベル別評価)とアビリティーズメジャード(項目別正答率)も確認してみてください。

TOEIC公式サイトにも公式認定証について記載されていますので、そちらもぜひチェックしてみてください。

参考記事

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この記事を書いた人

はるじぇー (株)ハルヨン 代表取締役

英語学習に関する有益な情報を発信しています。

得意分野は
「中学・高校英文法の学び直し」
「英会話に繋げるTOEIC L&R試験の勉強法」
です。

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