英語教材では、「似たスペルの単語」をまとめて紹介するものをよく見かけます。
例えば冒頭の画像では以下の英単語が似ているものだとまとめられています。
- adapt / adopt
- affect / effect
- complement / compliment
- ensure / insure
確かに、これらはTOEIC LR試験でも頻出であり、混同しやすい単語です。しかし、このような教材※を見ていつも疑問に思うことがあります。
なぜ発音記号(IPA)が載っていないのでしょうか。
※この記事冒頭の画像は「英語ビジュアルマップ / (著) きなこ」のものです。ISBN-10 : 405306354X

※お勧めしていない参考書なので書店へのリンクは貼りません。
最初に結論: 発音記号が記されていない教材は不完全な教材
私は発音記号が記されていない英単語帳は生徒には絶対に勧めません。
発音記号が記されていないだけで、その参考書の著者の英語力・英会話力が低いことが推測出来ますから。
TOEIC LR試験で頻出する英単語を綴り/スペルだけで比較する教材は、リスニング試験の比重が大きいTOEIC LR試験対策教材としては不十分です。
また、記事冒頭イラストのような雑なまとめ方は有害であるとすら言えます。
英語に関するイメージを掴みたいのであれば、この「英語ビジュアルマップ」を読むのではなく、定評のある大西泰斗先生の「一億人の英文法」「ハートで感じる英文法」を読むことを強くお勧めします。この2冊の参考書の詳細紹介は以下の記事に有ります。

発音記号があれば、一瞬で理解できる
adapt/adoptはスペルだけ見れば似たものです。
ただし、発音記号を見れば「それぞれの発音が大きく異なる英単語である」ことが分かります。
- adapt /əˈdæpt/
- adopt /əˈdɑːpt/
発音について学んだことがある人であれば、この2つの英単語は異なる母音で、かつ日本人にも聴き分けが容易に出来るものなので、簡単に区別することが出来ます。
一方で
- ensure /ɪnˈʃʊr/
- insure /ɪnˈʃʊr/
は発音記号が同じです。つまり、音では区別できない単語であることが一目で分かります。
発音記号は「発音方法」を示すだけではありません。どの単語が音で区別でき、どの単語ができないのかまで教えてくれるのです。
参考: staffとstuffの違い。カタカナ英語の知識しかないと、両方「スタッフ」と発音してしまいます。当然ながらこれでは通じません。

英単語を「スペル+意味」だけで覚えている方へ
英単語を覚える際には、意味とスペルだけでなく、発音記号を確認して実際に発音できる状態にすることをお勧めします。
特に日本人が苦手とする /æ/、/ʌ/、/ɑː/、/ɪ/、/iː/ などの母音を区別できるようになると、英単語の覚え方だけでなく、リスニングにも変化が出てきます。
実際に、フィリピン留学・バックワイズで発音を学んだJuriさんは、留学前から英検2級相当の英語力がありましたが、それまで英語の発音について体系的に学んだ経験はほとんどありませんでした。
バックワイズで発音を学んだ後、高校1年生の頃に覚えた英単語を改めて見ると、それまで多くの英単語を間違った発音で覚えていたことに気づいたそうです。
英単語は「スペル+日本語訳」だけで覚えると、間違った音のまま記憶してしまうことがあります。後から一つずつ修正するよりも、英単語を覚える段階から発音記号と実際の音も一緒に確認する方が効率的です。
▶ 関連記事:「もっと早くフィリピン留学をしていれば良かった」|受験英語では学べなかった英会話と、初めて学んだ発音【体験談】

発音教育なら「ミニマル・ペア」で整理したい
英会話やリスニングを意識している教材であれば、綴り/スペルではなく、ミニマル・ペア(Minimal Pair)でまとめる方が効果的です。
- adapt /əˈdæpt/(適応する) ↔ adopt /əˈdɑːpt/(採用する)
- affect /əˈfekt/(影響を与える) ↔ effect /ɪˈfekt/(影響・結果)
- drag /dræɡ/(引きずる) ↔ drug /drʌɡ/(薬)
これらは、母音だけが異なる典型的なミニマル・ペア(minimal pairs)です。
ミニマル・ペアとは、1つの音素だけが異なることで意味が変わる単語の組み合わせを指します。これらは英語の発音練習だけでなく、リスニング力の向上にも非常に効果的です。
発音記号を見ることで、学習者は単にスペルの違いを覚えるのではなく、「どの母音が異なるために意味まで変わるのか」を視覚的に理解できます。
TOEIC LRはリスニングが全体の50%を占める試験であるため、このような音声面からの学習、発音記号を読み込むことは得点力の向上にも直結します。
ミニマル・ペア(minimal pairs)は、「発音/英会話の練習」「リスニング学習」の両方に使えます。
この教材から感じる違和感
教材を見る限りでは、「母音が違う単語」という綴り/スペル上の分類になっています。
そのため、綴り・スペルの違いだけに注目し、実際の発音がどう違うのかという音声面からの説明がなく、非常に浅いまとめになっています。

英語や英会話を一度でも真剣に学んだことがある人であれば、母音字が異なる場合、発音も大きく変わることを痛感しています。
もし発音教育や英会話教育の視点で設計するなら、
- ミニマル・ペア
- 同音異綴語
- 発音記号
を中心に構成するはずです。
英語力がある程度ある人であれば、このように考えます。
特に酷いと思った箇所: aは「あーっ」と声を出して引っ張る、uは「うーっ」と飲むと覚えよう

drug /drʌɡ/ の母音 /ʌ/ は、日本語の「うーっ」とは異なる音です。全く関係ない「うーっ」と覚えさせるのが本当に意味不明です。ひどすぎる。
drag /dræɡ/(引きずる) の発音も「デュレェアーグッ」なので、このまま「あーっ」だとdrugの「ア!」の発音と混同する恐れ有り。
学習者が混乱させるような不適切な覚え方をなぜ勧めるのか全く理解出来ない。
発音と関連性のない綴り・スペルのこじつけで英単語を憶える学習方法、学習の効率を落とすだけ。
著者(きなこ、伊藤さなえ氏)の英語力が非常に低いと推測せざるをえない
この英語ビジュアルマップのように綴り・スペルの識別のみを重視している教材の場合、著者(きなこ、伊藤さなえ氏)の英語力が非常に低いのではと推測します。
著者(きなこ、伊藤さなえ氏)はIELTS試験で7.0のスコアがあると公言していますが、この7.0というスコアは人生の大部分を英語学習に捧げないと獲得できない非常に高いスコアです。
TOEIC試験で換算すると、1260点くらいのスコアになります(LR 900点, SW 360点)。
「これだけのハイスコア所持者が、こんなにレベルの低いまとめ方をする?」という疑問が終始出てくるのがこの「英語ビジュアルマップ」です。
参考画像: SNSできなこ、伊藤さなえ氏はTOEIC985点、IELTS7.0を獲得したことがあると明記

TOEIC LR試験はリスニングが50%を占める試験
TOEIC LR試験の受験者なら誰でも知っていますが、TOEIC LR試験は「リスニング100問」「リーディング100問」で構成されています。
つまり、試験の半分は「音」を聞き取る能力を測る試験です。
それにも関わらず、TOEIC LR試験について言及しながら、発音記号について記していないのは全く理解出来ません。
ちなみに発音記号を加えるのはそれほど大きな手間ではないです。発音の知識が有る人にとっては。
半年間PROGRITを受講した令和ロマン・くるまさんも、初歩的な英単語の発音を間違えていた
発音を軽視して英語学習を続ける問題は、英単語教材だけの話ではありません。
PROGRITを半年間受講した令和ロマン・髙比良くるまさんの広告動画を確認したところ、受講後にも honest や most といった初歩的な英単語を正しく発音できていませんでした。
たとえば honest を「オーネスト」と発音していました。しかし、honest の h は発音しません。
半年間英語学習を続けても、学習カリキュラムの中で発音を体系的に学び、先生から実際の発音を指摘・修正してもらう機会がなければ、自分では発音の間違いに気づかないまま学習を続けてしまう可能性があります。
令和ロマン・くるまさんのVERSANT17点→45点というPROGRITの広告については、実際の広告動画や発音も含めて、下記の記事で詳しく検証しています。
▶ 関連記事:慶應中退・令和ロマン髙比良くるまの「VERSANT17点(中3レベル)→45点(高3レベル)」は本当にすごい?PROGRIT広告を検証する

比較: 発音の知識が有り、英会話経験がある英語教師のレッスンノート
比較: TOEIC LR試験 Part3、英会話の経験がある教師(この記事を書いている私)であれば、発音記号については以下のように補足します。
参考画像: TOEIC LR試験 Listening Part3の英会話、間違えやすい発音について書き込みをしています。※画像はクリックすると拡大されます。

TOEICのリスニングが伸び悩んでいる方へ
TOEICのリスニング対策というと、「問題をたくさん解く」「英語をたくさん聞く」という学習に偏りがちです。
しかし、自分自身で区別して発音できない音は、リスニングでも聞き分けにくいものです。
ハルヨンでは、TOEIC対策だけを繰り返すのではなく、必要に応じて発音・英文法・英文読解まで戻り、英語の基礎力そのものを伸ばすことを重視しています。
「TOEICの勉強を続けているのにリスニングが伸びない」「今の勉強方法が合っているのか分からない」という方は、LINEから現在の学習状況をご相談いただけます。
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「英語ビジュアルマップ」著者のきなこ氏(伊藤さなえ氏)には発音の知識がなく、英会話の経験もないのでは?
発音記号を掲載しないこと自体が問題なのではありません。
しかし、「母音の違い」をテーマにした教材でありながら発音記号がないということは、音声面を十分に重視した教材設計とは言い難いでしょう。
実際、発音の知識が有り、また英会話がそれなりに出来る人であれば発音記号は必ず表記します。
だからこそ、この冒頭の画像を見た際の私の第一印象は「英語ビジュアルマップ」著者のきなこ @Kinaco_Inu (伊藤さなえ氏) は、発音の知識がなく、英会話の経験もないのでは?というものでした。
英語ビジュアルマップの巻末に発音についての記述はあったが……
英語ビジュアルマップ、発音に関する記述もあったが、それは巻末におまけとしてついていただけでした。
他の参考書を丸写ししているような内容で、発音ページに関しては著者の独自性は無し。発音をテーマにしたまとめイラストはゼロ。
そして、なぜか犬のイラストで口腔断面図を描いていたので、逆に分かりにくいイラストだった。
この発音に関するページからきなこ氏は発音の知識が無いことが推測出来ます。
参考 発音に関して、他の方も指摘していました。
きなこ氏(伊藤さなえ氏)の英語力について言及していたTwitter(X)投稿
まさに「紙屑」を閉じただけの駄本。
過去にこれほどひどい文法解説書はみたことがなく、これからも出ないであろう。
補語を表すcomplement(<completeの派生語)を「compliment(賛辞)」と書いてあり、その挿絵が「褒められて喜んでいる顔」になっている。つまり、単なる誤植ではなく「著者が本気で間違えている」。
詐欺の手腕にはたけているようで、まさに「素人だまし」のぺらぺらな内容を見破れない初心者にだけ受けている。
そしてこの本で学んだ人はだれ一人英語が上達しない。「ビジュアル」といいつつ、挿絵がまったく理解を助けていない。
最低最悪の一冊である。

問題の complement(補語、補足) と compliment(賞賛) を混同している箇所

英語ビジュアルマップに対する厳しい声
最大の問題点は、@Kinaco_Inuさん(英語力は英検3級〜準2級程度)の学歴詐称・資格詐称を出版社 @gakken_koko が見抜けず、本にもAmazonにもこのように載せていることです。
#英語ビジュアルマップ ←著者の学歴/資格詐称等まとめています
#英語コーチを騙る情報商材屋 ←著者の過去ポストを載せています

補足: TOEIC LR試験985・、IELTS 7.0の上級者、かつ英語教師でcomplement, complimentを混同する人は私も見たことないです。また、発音について知識が全く無さそうだと思われる点も自称ハイスコア保持の経歴と釣り合っていません。
世の中、読むだけ時間の無駄になる本ばかりだが、この本(英語ビジュアルマップ)は何ヵ所も嘘を事実として掲載しているという点で有害図書。
学習者がこんな本で勉強しないことを願う。 https://x.com/9g1dYXmrHR0JO1a/status/2079395362603950478
細かい間違いはたくさんあるが、僕がより問題だと思うのは、イラストが全く理解の役に立たないこと。 https://x.com/rinkaan4/status/2079437126211616936
Gakkenから出ている『英語ビジュアルマップ』(きなこ著)が、Xでボロクソに酷評されていてニッコリ。 https://x.com/hara_qqr/status/2079420770061848889
まとめ
TOEIC LR試験対策について言及する英語参考書であれば、「スペル・綴りの違い」だけを覚えるのではなく、
- 発音記号
- ミニマル・ペア
- 同音異綴語
- 品詞
- コロケーション
までセットで学ぶ方が、実践的な英語力につながります。
「英語ビジュアルマップ」のような不完全な教材で学ぶと、誤った英語知識が定着する恐れがあり、逆に時間を無駄にするだけです。
「英語ビジュアルマップ」は私は生徒には決して勧めない不完全で低品質な教材なので、購入を考えている方は注意が必要です。
発音・リスニングまで含めて、英語を基礎から学び直したい方へ
資格学習だけで終わらない、実際に使える英語を学ぶオンライン英語学習塾「ハルヨン」では、一人ひとりの英語力と目標に合わせて、先生が「何を、どの順番で、どこまで学ぶのか」を設計します。
中学・高校英文法、英文読解、発音、リスニングを日本人教師の授業で学び、理解した英文を繰り返し音読・暗唱します。さらにフィリピン人教師とのマンツーマンレッスンで、学んだ発音や英語表現を実際に使います。
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