「TOEIC300点→600点を最短1ヶ月」は本当?トライズの勉強法・実績を検証

英語コーチングスクール「トライズ」の公式サイトに、かなり気になる記事があります。

「TOEIC300点はやばい?300点から600点を最短1ヶ月で目指すため勉強法」

削除恐れがあるため、Web魚拓 https://megalodon.jp/2026-1007-1049-46/https://toraiz.jp:443/toeic/toeic-base/300-to-600

TOEIC300点から600点。つまり300点アップを「最短1ヶ月」で目指すという内容です。記事本文でも「TOEIC300点から600点を最短1ヶ月で目指す方法について解説します」と書かれています。

私はこれまでハルヨン・バックワイズで多数の英語学習者を指導してきましたが、TOEIC300点台の人に「1ヶ月で600点」を一般的な目標として設定することは決してありません。

そもそも同じTOEIC350点でも、

  • Listening 250点・Reading 100点
  • Listening 150点・Reading 200点

では、必要な勉強がまったく違います。総合点だけを見れば同じ350点ですが、英語の基礎力はかなり違います。

さらにトライズの記事を読み進めると、300点台の学習者に『TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ』を勧め、「TOEICでは和訳しか覚える必要がない」「TOEICならではのコツやテクニック」を学ぶことを勧めています。

私はこの学習法をTOEIC300点台の人には勧めません。

この記事では、トライズが紹介している「TOEIC300点→600点を最短1ヶ月」という勉強法について、実際に英語初級者を指導してきた経験と受講生の事例をもとに検証します。

目次

TOEIC300点から600点を「最短1ヶ月」は本当に可能なのか

まず、トライズの記事で紹介されている勉強法を確認します。

TOEIC300点前後から600点を目指すために必要なものとして挙げられているのは、「基礎的な語彙力」「基礎的な文法力」「TOEICへの理解」の3つです。

英単語については中学・高校レベルを学んだ後、『銀のフレーズ』でTOEIC頻出単語を学習することを推奨。英文法については中学1年生から確認し、「TOEIC600点であれば、高校の文法が一部理解できていなくても十分取得可能」としています。

さらに「TOEICへの理解」として、問題形式だけでなく「TOEICならではのコツやテクニック」を知ることも勧めています。

ここまで読んでも、「なぜ300点から600点まで1ヶ月で到達できるのか」という肝心の説明がほとんどありません。

TOEICを300点上げるために何時間の勉強が必要なのか。1ヶ月なら1日何時間勉強するのか。どの程度の英語力を持った300点台の人を想定しているのか。

そして何より、実際にTOEIC300点台から1ヶ月で600点まで伸ばした人がいるのか。トライズの受講生の中で実際に1ヶ月で200~300点のスコアを伸ばした人がいるのか。

「最短1ヶ月」という強い言葉を使うのであれば、ここが一番知りたいところです。

「300点→600点を1ヶ月」で達成した受講生はどこにいる?

トライズにはTOEIC L&R対策プログラムがあり、公式サイトでは受講生のスコアアップ実績も公開しています。

ところが、現在トライズが大きく紹介している実績は「2ヶ月で最大295点アップ」です。

これは十分に大きなスコアアップです。でも、今回検証している記事のタイトルは、「300点から600点を最短1ヶ月」です。

2ヶ月で295点アップした人ではなく、300点台から1ヶ月で600点に到達した人の実例を見せてほしいです。

今回、トライズ公式サイトで確認した範囲では、その具体的な受講生事例を確認できませんでした。

そして、「最短1ヶ月」とタイトルに書くのであれば、開始時のスコア、1ヶ月後のスコア、具体的に何点から何点になったのかを知りたいです。また、1日の勉強時間、実際に使用した教材くらいの情報は最低限知りたいところです。

そもそも「TOEIC300点台」を一括りにして勉強法を決めるのがおかしい

TOEIC300点台といっても、英語力は人によってかなり違います。

例えば、次の2人はどちらもTOEIC350点です。

  • Listening 250点・Reading 100点=350点 ※英文法が苦手
  • Listening 150点・Reading 200点=350点 ※英文法の知識は一通りある

ListeningとReadingを合計すれば同じ350点ですが、必要な勉強はまったく違います。

Reading Partが150点未満の場合、be動詞と一般動詞、三単現、疑問文、現在形・過去形といった、中学1〜2年生で学ぶ英文法から理解が怪しいことがあります。ハルヨン・バックワイズでは、このレベルの方には中学1年生、もしくは中学2年生の英文法から学び直してもらいます。

参考画像: be動詞と一般動詞の使い分けについて

一方、Reading Partが200点前後ある人なら、同じ300点台でも英文法・英文読解の基礎力はかなり高く、400点、500点へ比較的早く伸ばせます。

「TOEIC300点だから、この勉強をすれば600点になる」という考え方自体が雑です。

まして「300点から600点まで1ヶ月」と学習期間まで決めるのであれば、ListeningとReadingの内訳や英文法の理解度を無視することはできません。

TOEIC300点台に『銀のフレーズ』を勧めるのは順番が逆

トライズの記事では、TOEIC300点レベルの人に中学・高校レベルの英単語を学ばせ、その後にTOEIC頻出単語を学ぶ教材として『銀のフレーズ』を勧めています。

『銀のフレーズ』自体が悪い参考書なのではありません。使う順番がおかしいです。

例えばReading100点台で、be動詞と一般動詞の区別も怪しい人がいたとします。

その人に必要なのは、TOEIC頻出単語を覚えることではありません。まず中学英文法を理解する。中学レベルの英単語を覚える。発音を学ぶ。簡単な英文を正確に読めるようにする。

その後、高校英文法・英文読解まで学んでからTOEIC対策に進めばいい。特にTOEIC L&R試験対策であれば、助動詞のへりくだり表現、仮定法についての知識がなければ頻出する敬語表現を理解できません。

TOEIC300点台の人に必要なのは「TOEIC試験対策で有名な参考書」ではなく、「自分の英語力に合った参考書」です。

「TOEICでは和訳しか覚える必要がない」という勉強法にも賛成できない

トライズの記事でもう1つ気になったのが英単語の覚え方です。

中学・高校レベルの英単語について、「TOEICでは和訳しか覚える必要がないので、その分時間を短縮できます」と説明しています。英訳や綴りは不要という考え方です。

TOEIC L&R試験の点数だけを短期間で上げることが目的なら、こういう割り切り方はあるでしょう。

でも、TOEIC300点台から英語を学び直す人の勉強法として、私は勧めません。この学習法では英会話が全くできるようにならないからです。

TOEIC600点を取って終了なら、日本語訳だけ覚えればいいのかもしれません。

でも、その後に英会話をしたい。海外留学したい。ワーキングホリデーに行きたい。英語を使って仕事をしたい。

そう考えているのであれば、日本語訳を選択肢から選べるだけの英単語を大量生産しても仕方ありません。

TOEICの「コツやテクニック」で300点から600点になるのか

トライズの記事では、300点台の人に必要な3つ目の知識として「TOEICへの理解」を挙げています。

問題形式だけでなく、「TOEICならではのコツやテクニック」を知ることについて、記事では「知っているだけでスコアアップに直結する」と説明しています。

試験形式を知ること自体には賛成です。TOEICを初めて受験する人なら、Part 1〜7がどんな問題なのか、試験時間が何分なのか、Reading Partをどのくらいのペースで解くのかは知っておいた方がいいでしょう。

実際、TOEIC L&R試験を複数回受験して試験慣れするだけで、50点くらいはスコアアップ可能です。

でも、TOEIC300点台の人の最大の問題は、TOEICのテクニックを知らないことではありません。

Reading100点台なら、中学英文法や中学英単語そのものが身についていない可能性があります。こういう状態の人は、TOEIC L&R試験の問題すら理解できないです。

そこを放置して「TOEICのコツ」を覚えても、300点から600点まで上げることはできないのでは?と思います。

TOEIC350点から600点には900〜1,000時間かかることもある

では実際、TOEIC300点台から600点までどのくらい勉強すればいいのでしょうか。

ハルヨン・バックワイズでこれまで多数の英語学習者を指導してきた経験では、100点上げるために必要な学習時間の目安を次のように考えています。

現在のスコア → 目標スコア学習時間の目安
300点 → 400点300〜400時間
400点 → 500点250〜300時間
500点 → 600点250〜300時間

現時点でTOEIC350点前後なら、中学・高校英文法などの基礎学習も含め、600点まで900〜1,000時間程度かかることがあります。

もちろん、すべての人に900時間必要という意味ではありません。

先ほど紹介したように、同じ350点でもReading200点ある人ならもっと早く伸びる可能性があります。反対に中学英文法からほとんど分かっていない人なら、さらに時間がかかることもあります。

だからこそ、「TOEIC300点」という総合点だけを見て、600点まで1ヶ月と決めることがおかしいのです。

TOEIC450点でも中学2年生の英文法まで戻る人がいる

実際の受講生を紹介します。

大学生のタイセイさんは、ハルヨン・バックワイズで学習を始めた時点ですでにTOEIC450点ありました。しかしReading Partは150点。

英文法の知識が欠けている状態だと分かったので、中学2年生の英文法まで戻って学び直してもらいました。その後、TOEIC450点から715点まで伸びています。

TOEIC450点でも、中学2年生の英文法まで戻る人がいます。これが実際の英語初級者です。

「TOEIC300点台だから銀フレを覚えて、TOEICのコツを学んで、最短1ヶ月で600点」というほど、英語学習は簡単ではありません。

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専門家の指導を受けても600点まで約9ヶ月かかった

実際の指導例から、さらに2つの事例を紹介します。

Reading Partが苦手だったサトシさんですが、ハルヨンで高校英文法から学び直し、その後にTOEIC試験対策をして、やっとTOEIC600点を突破しました。この学習で約9ヶ月かかりました。

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また、Reading Partが220点だったアキさんも同じく英文法の知識があやふやだったので、高校英文法から学び直し、約9ヶ月の学習で600点を突破しています。

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もちろん、これも「600点まで必ず9ヶ月かかる」という意味ではありません。

重要なのは、実際の英語初級者は数ヶ月、場合によっては1年以上かけて基礎から英語を学び直して、はじめてTOEIC600点を突破しているということです。

トライズの記事で書かれているように1ヶ月間、ちゃちゃっとTOEIC試験対策をして200点アップなんて事例は私は一例も知らないです。

「最短1ヶ月」と書いているトライズ自身のTOEICコースは2ヶ月

さらに気になることがあります。トライズの「300点→600点」の記事では「最短1ヶ月」としていますが、現在提供しているTOEIC L&R対策プログラムは2ヶ月集中コースです。

公式ページでも「2ヶ月でTOEIC最大295点アップ」と宣伝しています。

さらにスコアアップ保証を見ると、

  • 450〜495点:200点アップ
  • 500〜545点:100点アップ
  • 550〜645点:75点アップ
  • 650〜745点:50点アップ

となっています。

300点台はスコアアップ保証の対象に入っていません。もちろん、保証対象外だから300点台の人が600点に到達できないという意味ではありません。

でも、自社コラムでは「300点から600点を最短1ヶ月」と大きく掲げている一方で、実際の商品は2ヶ月集中コース。そしてスコアアップ保証は450点以上からです。

だったら余計に、「300点台から1ヶ月で600点」の具体的な実例を見せてほしい。と思います。

TOEIC300点台なら、TOEIC対策より先にやることがある

TOEIC300点台から600点を目指すなら、まずListeningとReadingの点数を分けて、現状の英語力を確認する必要が有ります。

Reading Partが150点未満なら、中学英文法から学び直しましょう。

Reading Partが200点前後あるなら、中学英文法の抜けを確認した上で高校英文法で知識の抜けを確認しましょう。

そして高校英文法まで一通り理解してから、本格的なTOEIC L&R試験対策を始めます。ハルヨン/バックワイズでも、高校英文法まで学習した後にTOEIC対策を中心にしています。

TOEIC300点台のレベル、600点までの学習時間、具体的な参考書と勉強する順番については、下記の記事で詳しく紹介しています。

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「1ヶ月で300点アップ」より、中学英語からやり直す方が結局は早い

「TOEIC300点から600点を最短1ヶ月」

こういう話の方が魅力的です。

「中学英文法からやり直して、600点まで900時間前後かかることもあります」なんて話は地味です。

でも、実際の英語初級者を指導していると、そんなに都合よくはいきません。

TOEIC450点でもReading150点なら、中学2年生の英文法まで戻る人がいます。高校英文法から学び直して600点を超えるまで9ヶ月かかる人もいます。

be動詞と一般動詞の区別が怪しい人に『銀のフレーズ』とTOEICのテクニックを渡しても、英語はできるようになりません。TOEIC600点にも到達できません。

TOEIC300点台なら、まずListeningとReadingの点数を見て、英文法の理解度を確認する。必要なら中学英語まで戻る。遠回りに見えますが、その方が結局は近道です。

TOEIC300点台から何を勉強すればいいか分からない方へ

TOEIC300点台では、教材選び以上に「どこから学び直すか」が重要です。

ハルヨンでは、日本人教師が現在の英語力を確認し、「何を、どの順番で、どこまで学ぶのか」を設計します。

また、仕事や大学を休むなどして短期間で大量の勉強時間を確保したい方には、フィリピン留学という方法もあります。

バックワイズは『フィリピン留学で最も英語力を伸ばせる語学学校』です。

「中学1年生からやり直した方がいい?」「TOEIC対策はまだ早い?」「600点までどれくらいかかる?」という方は、現在の英語力をもとに相談してください。

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この記事を書いた人

はるじぇー (株)ハルヨン 代表取締役

英語学習に関する有益な情報を発信しています。

得意分野は
「中学・高校英文法の学び直し」
「英会話に繋げるTOEIC L&R試験の勉強法」
です。

ツイッターは相互フォローの方針でやっているので、お気軽にフォロー下さい。

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