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はてなブックマークで話題「TOEIC400点→海外駐在」。成功しているけど、英語学習はかなり遠回りしている

(TOP画像は最新の多読教材の学習の流れについて)

英語力がほぼゼロの状態から勉強を始め、TOEIC L&R試験で800点を超え、グローバル部署への異動、そして海外駐在までたどり着いた方の英語学習体験談がnoteで公開されて、はてなブックマークで注目されていました。

(記事) 英語習得までの道のり – やってよかった勉強法(英語力ほぼゼロから海外駐在まで)

最初に受けたTOEICは400点。その後、金のフレーズ、金のセンテンス、公式問題集、オンライン英会話、瞬間英作文、DUO3.0、Distinction 2000、スピフル、洋書(Holes)、Podcast、生成AI、Ankiなど、新旧様々な教材・学習法を試しています。

最終的に海外駐在までたどり着いているので、英語学習の成功例です。ただ、英語学習カリキュラムを日頃から作っている立場から読むと、別のことも感じました。

最初から「何を、どの順番で学ぶのか」が分かっていれば、かなりの遠回りを減らせたのではないか。

もちろんタボリマさんの事例は「N=1(サンプル数1)」です。

そこでこの記事では、日頃から多数の学習者に英語学習カリキュラムを作成している立場から、タボリマさんの学習法の何が有効だったのか、逆にどこを改善すればもっと効率よく英語力を伸ばせたのかを解説します。

TOEIC400点から700点。大量のリスニングで突破

この方(タボリマさん)はTOEIC500点台で長く停滞しています。特に苦手だったのがリスニングで、Part 3・4は聞こえてきた単語から答えを推測するような状態でした。

そこで効果があったのが、英語構文がまとまっている「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のセンテンス」「ALL IN ONE TOEIC テスト 音速チャージ!」

どちらも短い英文に必須語を詰め込んだ情報密度の高い英文を読み込む参考書です。

営業で車を運転している間も英文を聞き、理解できれば次へ、分からなければ何度も聞く。これを大量に繰り返した結果、ある日、それまで聞き取れなかった英語が「今日はなんだ?聞こえる!」という状態になったそうです。

大量に英語を聞くこと自体は私も重視しています。ただし、私たちは英文法を理解する → 発音を学ぶ → 英文を読んで理解する → 理解済みの英文を繰り返し聞く → 音読・暗唱するという順番で、理解を優先して学習を進めます。

意味も英文構造も発音も曖昧な英文を何度も聞くより、理解した英文を繰り返した方が効率がいいからです。

TOEIC L&R試験を独学すると発音学習が抜け落ちやすい

先ほど発音を学ぶをマーカーで引いて強調しましたが、この方の学習歴で特に気になったのが、リスニングに苦戦している時期までに、発音を体系的に学んだ記述がないことです。

この方は大量のリスニングを繰り返すことで自力で壁を突破していますが、発音を先に学んでいれば、ここまで大量に聞き続けなくてもよかったはずです。

また、この時点では、聞き取れていないだけでなく、自分でも正しく発音できていない音がかなりあったと考えられます。少なくとも元記事を読む限り、「基本的な母音の使い分け」「Schwaとは何か」のような発音の基礎知識を体系的に学んだ形跡は見つけられませんでした。

TOEIC L&R試験対策は独学でもできます。しかし独学だからこそ、スコアに直結しやすい単語・英文法・問題演習に偏り、発音のような英語力の土台となる学習を後回しにしがちです。

特に発音は独学では学べない分野の1つなので、多くの独学者は発音が壊滅しています。

TOEIC900点を超えても発音の基礎が抜けていることがある

実際、私は以前、TOEIC L&R試験で900点を超えているGAFAM勤務の方に、オンラインレッスンで1年近く発音を教えたことがあります。 TOEICで900点を超えていても、発音を体系的に学んでいなければ、発音の基礎がかなり抜けているので、一通り発音を学び直すのに1年以上かかりました。

今回の体験談には、多くの参考書、学習方法が紹介されていましたが、発音記号、母音・子音などを体系的に学んだ記述はありません。 この方も発音の基礎がかなり抜けている可能性があります。

実際、フィリピン留学バックワイズに留学したヨシアキさんは、留学開始時点でTOEIC865点の英語上級者でした。 それでも発音レッスンを受けると、自分では気づいていなかった「O」の発音が正しくできていないことを指摘され、ショックを受けています。

TOEICで800点、900点を取れるようになっても、発音を体系的に学んでいなければ、母音・子音の基礎が抜けていることはあります。TOEICのスコアが上がれば、発音も自然に身につくわけではありません。

ヨシアキさん自身も、留学後に「TOEICを勉強している人は早めに発音を学んだ方がいい」と話しています。

https://backwise.jp/student-yoshiaki-2025

TOEIC700点になってから英会話を始めた。でも話せなかった

TOEIC700点を超えたところで、オンライン英会話のBizmatesを始めています。

ところが、これがかなり悲惨だったそうです。

講師から「あなたの住んでいる地域では、どんな食べ物が有名ですか」という程度の質問をされても、質問を理解することに頭を使い切ってしまい、回答まで頭が回らない。最終的には超初心者向けのレベルまで下げています。

TOEIC L&R試験に出てくる英文は、ビジネス場面が中心で、実際の日常英会話で使う英語とはかなり違います。また、登場する英単語・英語表現も、日本人の英語学習者が日常英会話で自分から使うには難しすぎるものが多いです。

そのため、TOEICで高得点を取れても、簡単な日常会話になると全く話せない人は珍しくありません。 さらに、すでに述べたように、TOEICでは発音そのものを試されないため、高得点でも発音が壊滅していることがあります。

最初から英会話まで想定して英単語や英文を学んでいれば、TOEIC700点を超えてから「知っているのに話せない」という大きなギャップにここまで苦労することはなかったはずです。

TOEIC L&R試験で英単語の学習をする場合、「意味が分かる」で終わらせず、英会話・英作文で自分から使えるところまで学ぶ方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

https://hal4.jp/toeic600-vocabulary/

TOEIC800点を取っても「日常で使う英語」が足りなかった

TOEIC800点前後になってから、この方はDUO3.0やDistinction 2000を使っています。

DUO3.0

TOEIC対策で覚えた英単語だけでは、自分が実際に言いたいことを十分に表現できなかったからとのことですが、選んだ教材がまたズレているなと思いました。

DUO3.0やDistinction 2000は、大学受験や英検のように難易度が高めの英文を読むために必要な知識をインプットするための教材です。そのため、日常英会話で実際に自分から使うには難しすぎる英単語・英語表現が多い教材です。

TOEIC対策で覚えた英語を満足に使いこなせていないという課題に対して、さらに難しい英単語・英語表現を増やす教材を選ぶのは、教材選びとしてズレています。

英会話で使える英語を増やしたいのに、そこでまた日本の受験対策で使われるような英単語帳・参考書に戻ってしまう。ここにも独学者の限界を感じました。

多読教材で人気の『Holes』で苦戦する前に英語絵本を読めばいい

この方が洋書を読み始めたのは、TOEIC800点を取り、グローバル部署に異動してからです。

最初に選んだのが多読教材として人気の『Holes』でした。定番教材ですが、初級者向けではないです。

Holes: The iconic childhood-defining phenomenon
穴 HOLES ※翻訳版

本人も「初心者向きじゃないです」と書いています。「TOEIC600点くらいあれば読める」という意見に対しても「本当に読んだ?? 無理です」とかなり率直です。

ここでも的外れな教材を選んでいます。『Holes』は1998年に出版された児童文学の名作ですが、約5万語あり、時系列が交錯し、伏線も多いため、初めて読む洋書としてはかなり重いです。

いきなり『Holes』に挑戦するより、まずは英語絵本や、2012年出版の『The One and Only Ivan』のような読みやすい児童文学から始めた方がいいです。

The One and Only Ivan: A Gentle Friendship Story About Patience, Kindness, and Everyday Adventures Together

実はこの2冊には共通点があります。『Holes』は1999年、『The One and Only Ivan』は2013年に、どちらもアメリカの優れた児童文学に贈られるニューベリー賞を受賞しています。

『The One and Only Ivan』も長編ですが、1つ1つの章が非常に短く、英文も短く区切られています。最初の洋書を1冊読み切る経験を作りやすく、そこから『Holes』へ進む方が無理がありません。

同じニューベリー賞受賞作でも難易度はかなり違います。洋書多読では、有名な本をいきなり選ぶのではなく、自分の英語力に合った本から段階的に読むことが大切です。

TOEIC600点から読める『THANK YOU, OMU!』

そしてなにより洋書を読むからといって、いきなり『The One and Only Ivan』『Holes』まで難易度を上げる必要はありません。

ハルヨン/バックワイズでは、中学英文法を学んでいる段階から、その人の英語力に合わせて英語絵本を使います。

Thank You, Omu! (Caldecott Honor Award Winner)

『THANK YOU, OMU!』の良いところは、TOEICで必要な英語と、実際の日常会話で使う英語の両方を、物語の中で学べることです。

例えば、on duty「勤務中で」、construction worker「建設作業員」、present + 人 + with + 物「人に物を贈る」といったTOEICでも役立つ英語が登場します。

その一方で、Would you like some?「少しいかがですか」、That sounds yummy.「おいしそう」、stop by「立ち寄る」、all gone「全部なくなった」、Don't worry.「心配しないで」など、TOEIC対策だけでは不足しやすい、日常でそのまま使える英語表現も自然に学べます。

TOEIC800点を取ってから、いきなり『Holes』に挑戦して苦戦する必要はありません。

TOEIC対策と並行して、もっと早い段階から英語絵本を読み始め、英語力に合わせて少しずつ難易度を上げていけばいいです。

例えば『Thank You, Omu!』であれば、TOEIC600点レベルから十分に理解できます。そこから、やさしい児童文学、読みごたえのある児童文学へと段階的に進めば、『Holes』のような洋書にも無理なく近づいていけます。

その過程で、英文法や英文読解で学んだ英語を、絵・人物・物語と一緒に読みながら、TOEIC対策だけでは不足しやすい日常で使われる英語も増やしていけます。

英語絵本を使ってどのように英語を学習するのか、具体的な学習方法についてはこちらの記事で解説しています。

https://backwise.jp/english-picture-books-learning

瞬間英作文は効果があった。でも、つまらなすぎた

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング

TOEIC800点を取った後、この方はスピーキングを伸ばすために『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』にも取り組んでいます。

瞬間英作文そのものには効果を感じた一方で、「内容がつまらなすぎる」「簡単な割に間違えまくる」とかなり苦戦しています。

そもそも『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』の初版が発売されたのは2006年です。20年前の教材なので、そりゃ内容も陳腐化していてつまらないです。

よりによって、まだこの教材を選ぶのか。 というのが率直な感想です。昔から有名な定番教材を選んでしまう。これも独学者の限界だなと思いました。

現在では、瞬間英作文の改良版といえる教材も書店に数多く並んでいます。

私自身も『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』を実際に使ってみてイマイチだと感じたため、ハルヨン/バックワイズでは自社で作成した改良版の瞬間英作文教材を使用しています。

生成AIを使った瞬間英作文はかなり良い

ここからタボリマさんの学習法は一気に現代的になります。スピフルを4か月ほど集中して使い、スピーキング力が大きく伸びたと感じています。さらに生成AIを使い、自分専用の瞬間英作文まで作っています。

生成AIに日本語の問題を作らせ、まず自分で英作文する。その後でAIに添削させ、B2・C1レベルの英文や重要表現を確認する。

AIに最初から答えを書かせるのではなく、まず自分で英作文する。その後にAIを使う。生成AIを英語学習に使うなら、この順番は重要です。

この使い方はかなり良いと思います。ただ、さらに改善するなら、生成AIにゼロから問題を作らせるのではなく、模範となる教材を読み込ませ、それを参考に問題を作らせる方法がおすすめです。

生成AIは何も指定しなくても瞬間英作文の問題を作れますが、問題の質や難易度にはばらつきがあります。良質な教材を見本として与えた上で、自分の英語力に合わせて難易度を調整させた方が、学ぶ英単語・英語表現もコントロールしやすくなります。

ハルヨン/バックワイズでも、模範となる教材を生成AIに読み込ませ、それを参考に英作文の問題を作成させ、さらに学習者の英語力に合わせて難易度を調整するという使い方を推奨しています。

英語学習には成功した。ただし、かなり遠回りしている

タボリマさんの英語学習は、間違いなく成功例です。

TOEIC400点から800点を超え、グローバル部署への異動、そして海外駐在までたどり着いています。ここまで英語力を伸ばしたこと自体は素晴らしいです。

ただ、成功するまでの学習過程を見ると、かなり遠回りもしています。

そして壁にぶつかるたびに、自分に足りないものを考え、新しい教材や学習法を探し、軌道修正しています。

つまり、英語を学びながら、自分で英語学習カリキュラムまで作っていたわけです。

独学では、教材を選ぶだけでなく「何を、どの順番で学ぶのか」まで自分で考えなければなりません。

この記事を読んで、最初から英語学習の専門家に相談していれば、ここまで遠回りしなくてもよかったのになと思いました。

英語学習で遠回りしたくない人へ

英語教材はいくらでもあります。問題は、今の自分に何が必要で、何を、どの順番で、どこまでやればいいのかを自分で判断するのが難しいことです。

オンラインレッスンのハルヨンでは、日本人教師が現在の英語力を確認した上で、英文法・発音・英文読解・音読・英会話まで学習する順番を設計します。

フィリピン留学バックワイズでも同じ考え方で、日本での事前学習からフィリピン留学まで一貫してカリキュラムを組んでいます。

独学で何年も試行錯誤する前に、まず自分が何を学ぶべきなのか知りたい方はご相談ください。

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