この記事ではTOEIC 860点レベルの英語力の特徴と、その水準に届くための勉強法を詳しく解説します。
TOEIC 860点レベルの英語力とは
TOEIC 860点相当の英語力は、語彙・文法・構文を正確に把握しており、その知識を駆使し流暢に使いこなすことができる水準。TOEIC試験を実施するIIBC、国際ビジネスコミュニケーション協会の定めるTOEIC Aレベル(最高レベル)にあたり、「Non-nativeとして十分なコミュニケーションができる」とされています。 企業の国際部門で活躍するビジネスパーソンに期待するスコアが655〜855点と言われていますから、TOEIC 860点を取得していれば国際部門でも自信を持って働くことができるでしょう。
TOEIC 860点は、ハイレベルな英語力を示す指標として企業が採用や昇進、海外赴任の際の要件にしているのはもちろんのこと、多くの大学や日本を代表する団体・省庁なども業務遂行に必要な英語力としてTOEIC 860点を挙げています。
国立大学では埼玉大学が、TOEIC 730点以上を保持している学生には英語2単位、そして860点以上を保持している学生には4単位を認定しています。
また、JICAは「英語で実務遂行が可能」な英語力としてTOEIC 860点以上を総合職・社会人採用の募集要項に指定しています。同様に外務省も、社会人採用など即戦力としての人材を採用する際にTOEIC 860点レベルの英語力を求めています。国際協力や国際関係に関わる日本を代表する大きな組織がTOEIC 860点以上の英語力を求めていることからも、その英語力の高さがわかります。
※TOEIC L&R試験スコアと英語力との関係の、大まかな目安を表にまとめました。参考にしてみてください。
最低限必要なTOEICの点数 |
可能なこと |
備考 |
TOEIC 500点 |
初歩的な日常会話や自己紹介 |
少しずつ会話が可能になりますので、英語学習自体も楽しくなってくる段階です。裏を返せばTOEIC 500点以下の場合、道を尋ねたり簡単な挨拶程度の会話をするのにも困ります。500点以下の人の場合は英語を見ること自体がかなり苦痛です。 |
TOEIC 600点 |
・ワーキングホリデー・海外就職(アジア就職)・海外旅行(世界一周など) |
ワーキングホリデーに行く人が最低限取得しておきたい点数です。
・海外就職をする上で望ましい水準は800点以上ですが、最低限の水準は600点です。600点以下だとコミュニケーションが上手くいきません。また、日本で履歴書に書ける最低レベルの点数です。600点以下は履歴書に点数を書かない方が無難です。
・自己紹介以外の会話ができるために必要な最低限の水準ですので、海外旅行や世界一周旅行を楽しむために必要な水準です。 |
TOEIC 700点 |
外資系企業の足切り水準 |
外資系企業で働きたい人は最低限TOEIC 700点はないと履歴書の段階で落とされることがあります。 |
TOEIC 800点 |
就職活動で武器として使える |
転職活動で英語を自分の強みとして積極的に利用できる点数です。また、友好的交渉であればネイティブと行なうことも可能な水準です。 |
TOEIC 900点 |
アメリカなどで仕事をする上での最低水準 |
ネイティブと互角に英語でやり取りをする上で最低限必要な水準です。 |
参考
TOEIC 860点レベルを目指す勉強方法・教材
TOEIC L&R試験で860点を目指すために必要となる学習方法と教材を「
英文法」「英文読解」「リスニング」の3つを軸にしてご紹介します。
1.TOEIC 860点を目指す英文法の勉強法
まずTOEIC 800点台を獲得するには、
高校で学ぶ英文法をもれなく理解していることが必要になります。860点を狙うならそれら知識を前提に、的確かつ一定以上の速度で問題を解いていけるかが重要です。
高校英文法について一通り不明点がないか確認するための参考書です。 (学習方法)最低2周し、丸暗記することよりも理解することを優先して読み進めましょう。別冊の回答英文をリスニングCDを使って暗記するまで聴き込んで下さい。
品詞分解ができるようになるための本です。文法が弱い場合は品詞分解が出来ていないことが多いので、その自覚がある人はぜひ取り組んで下さい。「高校英文法をひとつひとつわかりやすく。」で学んだ内容をさらに深く定着させましょう。 (学習法)
『高校英文法をひとつひとつわかりやすく。』と同様に最低2周し、丸暗記することよりも理解することを優先して読み進めて下さい。また、空き時間には復習としてリスニングCDを聴きこみましょう。P122からの「音読用英文の一覧」は暗唱できるようになるくらいに音読することをおすすめします。 上記2冊の本で基礎を固めてから、次はTOEIC L&R試験のPart5, 6(文法問題)向け参考書で、問題演習をし、学んだ内容を定着させましょう。
※アルクにダウンロード音源有り
※Febeにダウンロード音源有り 上記の英文法参考書は解きっぱなしにしてはいけません。
解けなかった問題はかならず解説を読み、どうして解けなかったか確認し、理解につなげましょう。英文法の理解が曖昧だったのであれば参考書の該当箇所を読み返し、知識を確実なものにしてください。 理解した上で繰り返し音読し、リスニング音源を聴き込みましょう。音読&リスニング学習を通じて、英文法の理解がさらに深まり、また試験問題のパターンに慣れることができます。そうすれば、問題を目にした瞬間にほぼ自動的に答えを見抜くことができるようになっていきます。
数多くの問題集に手をつけるのではなく、ここで紹介している参考書を着実に仕上げましょう。紹介した英文法教材には全て復習用のリスニング音源が付属しているため、通勤・通学時間に完全に暗記できるようになるまで聴き込んでください。
2.TOEIC 860点を目指すリスニング・英文読解の勉強法
リスニング・英文読解の精度を上げるためには、まず英文を読むこと自体に慣れること、そして、英語の語彙を増やすことが必要となります。 いろいろな読解問題集に手を出すのではなく『
TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編』と『
TOEICテスト新公式問題集〈Vol.6〉 』の2冊の使用をおすすめします。この2冊の公式本を使って4回分の模試をやり込むだけで、TOEIC 800点台に到達することは可能です。
苦手なポイントに合わせて、下記の3冊を必要に応じて使用してください。
Listening Partが300点に満たない人向け
【TOEIC(R)試験対策】【英会話教材】『TOEICテスト公式プラクティス リスニング編』
Reading Partが300点に満たない人向け
【TOEIC(R)試験対策】『TOEICテスト公式プラクティス リーディング編 』 ⇒Febeから音源を購入し、
ダウンロードしてください
英単語力に不安が有る方向けの英単語帳。
【TOEIC(R)試験対策】【語彙力アップ】『TOEICテスト英単語 出るのはこれ!』 特にReading Partの点数が低い人に有効です。1日100個の英単語の暗記を行い、2周してください。リスニングファイルを必ず
ダウンロードして、聴き込んでください。
これらの参考書に登場する全ての英語表現を暗記するくらいに繰り返し解きましょう。英文法と同様、解けなかった問題を次回以降確実に解けるようにしてください。同時に、問題に使われている英文を精読します。一文一文を品詞分解し、知らない単語・英文表現はかならず辞書・参考書で調べ、暗記することをおすすめします。
3.TOEIC 850点を目指す多読・多聴の勉強法
2.で紹介した参考書の読み込みが一段落した時点で、
多読・多聴学習にも着手してください。これはTOEIC 800点以上を目指す人のための学習方法です。TOEICテスト新公式問題集で使用していないVol.5以前のものを片っ端から読み、そしてリスニング音源を聴くことを通して、未知の英文を理解する能力を高めましょう。 TOEIC 860点以上を獲得できる人の多くは、
全く未知の英文に接してすぐに理解できる即応能力が高いです。多読・多聴学習を繰り返し、英語でのやり取りに多くふれると、例えばPart2の短文応答問題であれば、たとえ英語を聞き逃しても「会話だったらこういう流れになるよな」となんとなく答えを推測できるようになりますよ。 TOEIC試験以外の教材では
NHKの入門ビジネス英語がTOEIC L&R試験との相性が良いです。入門ビジネス英語を毎月購入するのが億劫な方は、2015年のものが総集編として出版されているので、そちらを使ってみてください。
《入門ビジネス英語 2015年総集編》『NHK CD BOOK 入門ビジネス英語 10億人に通じる! やさしいビジネス英会話』 TOEIC L&R試験向けでない話題も含まれますが、同じくNHKの『ニュースで英会話』もおすすめです。ニュースで英会話に関しては下記に詳細な紹介記事が有りますので参考にして下さい。 参考記事: 「NHK ニュースで英会話」最新時事ニュースと英語を1度に学べる一石二鳥の教材
「TOEIC L&R試験向け参考書を使った精読」と「興味が持てる教材を使った多読」を交互に繰り返すことにより、語彙を増やし、英文を読むこと自体に慣れます。それによってより速く、かつより正確に英文を読み、聴けるようになります。上級レベルのTOEIC 860点以上を狙うのであれば、正確さとスピードを意識しましょう。