フィリピン・セブ島の語学学校CPILS(シピルス)が、かなり衝撃的なTOEICの実績をInstagramで公開しています。
CPILSは、セブ島で長く運営されている韓国系の老舗語学学校です。留学生からの口コミや評判も多い学校ですが、今回は学校そのものの評判ではなく、CPILSが公開しているTOEICのスコアアップ実績を検証します。
- Eric:約3週間で510 → 920(+410点)
- Wilson:8週間で300 → 865(+565点)
- Frank:8週間で375 → 810(+435点)
もしこれが本当に「公式TOEIC → 公式TOEIC」のスコアアップなら、とんでもない実績です。というより、長年英語教育に関わってきた私からすると、まず疑ってかかる数字です。
TOEICは、3週間で400点、8週間で500点も簡単に伸ばせるような試験ではありません。
ところが、この広告をよく見ると、そのカラクリが見えてきます。
CPILSの「TOEIC565点アップ」は、普通ならどう理解するか
問題のInstagram投稿
TOEIC SUCCESS STORIES 📈✨️
〜短期間の留学でも、ここまで伸びる!〜
今回は、CPILSでTOEICコースを受講した3名の台湾人生徒のSuccess Storyをご紹介します🇹🇼
1. Eric|約3週間
510 → 920
+410 points! 🎉
2. Wilson|8週間
300 → 865
+565 points! 🎉
3. Frank|8週間
375 → 810
+435 points! 🎉
「学校のため」や「就職のため」など、
それぞれ異なる目標を持ってCPILSへ来た3人。
短期間でも、目標を持って集中して取り組むことで、大きな成果につながることを証明してくれました😌💖
皆さまのこれからのご活躍を心より応援しております!
おめでとうございます👏
#CPILS#CPILSJAPAN
#TOEICSuccess
#セブ留学#フィリピン留学
この投稿で注目してほしいのは、スコアだけではありません。
CPILS自身が、「短期間の留学でも、ここまで伸びる!」と書き、さらに、「短期間でも、目標を持って集中して取り組むことで、大きな成果につながることを証明してくれました」と説明しています。
つまり、単に3人のテスト結果を紹介しているのではありません。3週間、8週間という短期間のCPILS留学によって、TOEICのスコアが大幅に伸びた成功事例として紹介しているわけです。
では、「8週間でTOEICが300点から865点になった」と聞いたら、普通の人はどう理解するでしょうか。
おそらく、「以前TOEICを受験したら300点だった。その人が8週間勉強して、もう一度TOEICを受験したら865点になった」と考えるはずです。
少なくとも、「最初の300点は語学学校が実施したPlacement Testで、最後の865点だけが公式TOEICなのだろう」と勝手に補完して読む人は、ほとんどいないでしょう。
ところが、画像をよく見ると違います。
Beforeには「TOEIC PLACEMENT TEST SCORE」、Afterには「TOEIC OFFICIAL TEST SCORE」と書かれています。
つまり、「公式TOEIC 300点 → 公式TOEIC 865点」ではありません。広告に書かれているのは、「TOEIC Placement Test 300点 → TOEIC Official Test 865点」です。
そもそも同じ試験ではありません。
CPILS(シピルス)の評判自体は悪くない
ここで誤解がないように書いておきます。私は「CPILSは評判の悪い語学学校だから、この広告も信用できない」と言いたいわけではありません。
CPILSはセブ島で長く運営されている老舗語学学校で、講師や英語学習環境を評価する口コミもあります。
学校そのものの評判と、広告で紹介されているTOEIC実績が適切かどうかは別問題です。この記事で検証するのは、あくまで「TOEIC+565点」という広告の見せ方です。
それなのに「+565 points!」と大きく宣伝する
ここからが、この広告のひどいところです。
CPILSは異なる名称のテスト結果を並べるだけではありません。「300 → 865」という2つの数字の差をわざわざ計算して、「+565 points!」と大きく表示しています。
そして投稿本文では「8週間」「短期間の留学でも、ここまで伸びる!」と宣伝しています。
これを見た一般の人がどう受け取るかは明らかでしょう。
「CPILSに8週間留学して、TOEICが300点から865点まで伸びた。565点もスコアアップした」、普通はそう理解します。
一方で、最初の300点が公式TOEICではなくPlacement Testであるという極めて重要な情報は、画像の中に小さく書かれているだけです。
大きく見せるのは「300 → 865」「+565 points!」「8 weeks」。小さく見せるのは「PLACEMENT TEST」。
私は、これを単なる「説明不足」や「ちょっと紛らわしい広告」だとは考えていません。
一般の消費者に「8週間でTOEICが565点伸びた」と誤認させるよう設計された、極めて悪質な広告表現だと判断しています。
「PLACEMENT TESTと書いてあるから嘘ではない」という話でもありません。
広告で重要なのは、小さな文字で何と書いてあるかだけではなく、広告全体を見た一般の消費者が何を意味する広告だと受け取るかです。
本当に「Placement Testの300点と公式TOEICの865点は別のテストです」と正確に伝えるつもりなら、そもそも差を計算して「+565 points!」と強調する必要がありません。
わざわざ差を計算して「+565」と見せていること自体が、この広告の意図をよく表していると私は思います。
CPILSのTOEIC実績なら、せめてBeforeも公式TOEICで測ればいい
やるべきことは簡単です。「TOEICが565点伸びました」と広告したいのであれば、BeforeもAfterも公式TOEICで測ればいい。
公式TOEIC 300点 → 8週間 → 公式TOEIC 865点
これなら何の問題もありません。本当に8週間で565点伸ばせる教育をしているのであれば、堂々と公式TOEIC同士で比較すればいいのです。
それができず、入学時にはPlacement Testを使い、卒業時には公式TOEICを使うのであれば、少なくとも両者を単純に引き算して「+565 points!」などと表示するべきではありません。
Placement Testと公式TOEICが同じ尺度で直接比較できるというのであれば、その根拠を明示すればいい。問題数、試験時間、難易度、採点方法、スコア換算方法などについて説明すれば済む話です。
まともな実績があるなら、まともな測り方で見せればいい。
それだけの話です。
CPILSの「8週間でTOEIC565点アップ」は現実的なのか
今回の問題は測定方法だけではありません。数字そのものが荒唐無稽です。
TOEIC300点前後の学習者であれば、中学英文法や基本語彙から学び直す必要があるケースも珍しくありません。一方、865点を取得するには、英文法を理解しているだけでは足りません。語彙を増やし、英文を正確に読み、長文をかなりの速度で処理し、リスニングでも高い正答率を取る必要があります。
300点と865点の間には、とてつもなく大きな英語力の差があります。
それを8週間で埋める。さらに別の生徒は、約3週間で510点から920点。410点アップです。
これは「本人が頑張ったから大きく伸びました」で済ませられる数字ではありません。
私がこれまで多数の英語学習者を見てきた経験では、条件が揃った学習者でも、短期間で再現性を期待できる大幅なスコアアップとしては、1ヶ月100点前後でも十分に大きな成果です。
もちろん、全員が1ヶ月100点伸びるという意味ではありません。開始時の英語力、初回受験時の不慣れ、1日の学習時間、英文法や語彙の習得状況などによって伸び方は変わります。
短期間でのTOEICの大幅なスコアアップについては、別の記事でも検証しています。「3ヶ月で485点→850点」という広告を取り上げ、TOEICのスコアを伸ばすために必要な学習時間から、どこまで再現性があるのかを詳しく解説しました。
今回の「8週間で565点アップ」がどれほど現実離れした数字なのかを考えるうえでも、参考になると思います。
▶ 関連記事:【検証】3ヶ月でTOEIC LR試験 485点→850点は可能? – 英語学習者を馬鹿にした「甘い広告」の裏側
それでもCPILSが並べているのは、約3週間で+410点、8週間で+565点、8週間で+435点です。しかも1人だけではなく、3人です。
こんな伸び方に再現性があるなら、CPILSはInstagram広告を作っている場合ではありません。世界中の英語教育機関がその教授法を研究するレベルです。
実際の成功例と比較すると、どれだけ荒唐無稽か分かる
TOEICに詳しくない人には、「565点アップ」がどれほど異常なのか分かりにくいかもしれません。そこで、私たちが実際に指導した学習者と比較してみます。
セイキさんは、TOEIC595点から学習を始めました。日本で12週間の事前学習を行い、その後フィリピンで8週間学習しました。合計約20週間です。
結果は、595点 → 830点。235点アップ。これでも相当にうまくいった成功例です。
一方、CPILSの広告は、300点 → 865点。8週間で565点アップ。
セイキさんより開始時のスコアが295点も低く、学習期間は半分以下。それなのに、上昇幅は2倍以上です。
さらにEricさんに至っては、510点 → 920点。約3週間で410点アップ。
セイキさんが約20週間かけて235点伸ばしたのに、約3週間で410点伸びたことになります。
こうやって現実の成功例と並べると、CPILSが広告している数字がどれだけ荒唐無稽なのか分かります。
TOEIC810点のヒナタさんと比較すると、どれだけ異常か分かる
もう一人、実際の学習者を紹介します。
ヒナタさんは、フィリピン留学前の時点ですでにTOEIC810点を取得していました。CPILSの広告に登場するFrankさんの留学後810点と同じ水準です。
しかし、810点という英語力は、フィリピンで数週間マンツーマンレッスンを受けたら突然手に入ったものではありません。
ヒナタさんは留学前にも12週間の事前学習を行い、高校英文法、TOEIC公式問題集、発音、語彙、「ニュースで学ぶ『現代英語』」などを使って学習しています。
TOEIC800点台とは、本来そうやって英語の基礎を積み上げた先にある点数です。
300点の人がフィリピンへ行く。マンツーマンレッスンをたくさん受ける。8週間後に865点になる。
英語学習はそんな魔法ではありません。
フィリピン留学のマンツーマンレッスンだけではTOEIC対策にならない
フィリピン留学では、「マンツーマンレッスン1日○コマ」が商品の魅力としてよく使われます。
しかし、マンツーマンレッスンを増やせばTOEICが伸びる、という発想そのものが雑です。
TOEIC300〜500点程度の学習者がやらなければならないのは、先生と何時間も話すことだけではありません。英文法を理解する。語彙を覚える。英文を読む。音声を繰り返し聞く。音読する。問題を解く。そして何度も復習する。
こうした学習の多くは、先生と話している時間ではなく、自分で英語を身につける時間です。
先生を1時間独占したところで、単語を1000語覚えられるわけではありません。英文を読む速度が勝手に上がるわけでもありません。
だからバックワイズでは、むしろ長時間のマンツーマンレッスンを推奨していません。マンツーマンレッスンは原則1日2〜3コマ程度に抑え、それ以外の時間を英文法・語彙・英文読解・リスニング、そしてレッスンの予習・復習に使います。
考え方はシンプルです。先に自分で学ぶ。そこで身につけた英語をマンツーマンレッスンで使う。そして、レッスンで見つかった課題をもう一度自分で学ぶ。
バックワイズでは、この「予習 → 実践 → 復習 → 再び実践」という流れを「反転授業」として取り入れています。
参考画像: バックワイズで実践されている反転授業の流れ
初級者ほど、そもそも英会話で使える英単語や英文法が不足しています。使える英語が少ない状態でマンツーマンレッスンを6時間、8時間と増やしても、同じ単語や同じ表現を使い回す時間が長くなるだけです。
そのためバックワイズでは、フィリピン留学中の学習時間について、初級者ならインプット8:アウトプット2、中級者以上でも7:3程度を目安にしています。
英会話レッスンは、英語を身につける場所というより、身につけた英語を使う場所です。
もちろん、マンツーマンレッスンには価値があります。理解した英語を実際に使う、発音を直してもらう、英作文を添削してもらう、分からない部分を質問する。こうした用途では非常に有効です。
しかし、TOEIC300点の人を865点にする主役が「大量のマンツーマンレッスン」になるわけではありません。
TOEICは、授業時間を札束で買えば点数が上がる試験ではありません。
▶ 関連記事:語学学校バックワイズの特徴3…「大量のインプットと少量のアウトプット」を実践する「反転授業」
TOEICの「短期間で大幅アップ」を使った広告は、CPILSだけではない
こうした、TOEICのスコアを使って実際以上に大きな成果を印象づける広告は、CPILSだけの問題ではありません。
以前、フィリピン留学を扱う留学エージェントが、格闘家のよしきまるさんについて、「英語力ゼロから1ヶ月でTOEIC450点」「4週間でTOEIC220点→450点」と宣伝していた事例を検証しました。
ところが、公開されている情報を時系列で調べると、よしきまるさんには、その「4週間」以前にも長期間のフィリピン留学経験がありました。
それにもかかわらず、長い英語学習歴をほとんど見せず、特定の4週間だけを切り取って「220点→450点」と宣伝すれば、これから留学する人は、「英語初心者でもフィリピンへ4週間留学すれば、TOEICが230点上がる」と受け取ってしまいます。
私はこの記事で、こうした広告を「詐欺広告」と批判しました。
そして、今回のCPILSとは手法が違います。
よしきまるさんの事例では、長い留学・学習歴の一部だけを切り取る。
CPILSの広告では、Placement Testと公式TOEICという異なるテストを並べ、その差を「+565 points!」として見せる。
やり方は違っても、共通しているのは、TOEICという誰にでも分かりやすい数字を使い、短期間で劇的に英語力が伸びたように見せて集客することです。
留学を検討している人は、「○週間でTOEIC○点アップ」という派手な数字を見たら、まずBeforeとAfterが何の試験なのか、そしてその人がそれ以前にどれだけ英語を学んでいたのかを確認してください。
▶ 関連記事:格闘家よしきまる氏のフィリピン留学を時系列で整理|「英語力ゼロ」「4週間でTOEIC450点」の公開情報を比較
CPILSのTOEIC実績には、なぜ異なるテストが使われているのか
ここで、改めてCPILSの広告に戻ります。
本当に十分な教育実績がある学校なら、なぜこんな見せ方をする必要があるのでしょうか。
公式TOEICで400点から600点、500点から700点、600点から800点と伸びた生徒がたくさんいるなら、それを出せばいい。派手ではありません。でも、それがまともな英語教育の実績です。
ところがCPILSが大々的に見せているのは、Placement Test 300点 → 公式TOEIC 865点 →「+565 points!」です。
少なくとも、この広告については、なぜ公式TOEIC同士のBefore/Afterではなく、Placement Testと公式TOEICを使って「+565 points!」と見せる必要があったのか、強い疑問が残ります。
本当に実績があるなら、正面から見せればいい。わざわざ異なるテストを持ってきて、差を計算して、巨大な「+565」を作る必要はありません。
生徒を責めているのではない。問題なのは学校側の広告だ
ここは明確にしておきます。広告に登場している台湾人留学生を批判する意図はありません。865点や920点という最終スコアが実際に取得されたものであれば、それは本人が努力した結果でしょう。
問題なのは、その数字を学校側がどう広告に使っているかです。
生徒の努力と、学校の広告表現は別問題です。
Placement Testと公式TOEICという異なるテストを並べ、その差を「+565 points!」として営利目的の広告に利用したのは生徒ではありません。学校側です。
CPILSの「TOEIC+565点」広告を私は極めて悪質だと考える
今回の広告で問題なのは、生徒が865点や920点を取得したことではありません。
Placement Testと公式TOEICという異なるテストを並べ、その差を「+565 points!」として、短期留学によるTOEICのスコアアップ実績のように宣伝していることです。
しかも、これは学校内で生徒を褒めるための成果発表ではありません。留学希望者からお金を受け取る営利サービスの集客広告です。
「300 → 865」「+565 points!」「8 weeks」と大きく見せ、その一方で最初の300点が「PLACEMENT TEST」であることは小さく表示する。
私は、一般の消費者に「8週間でTOEICが565点伸びた」と誤認させるよう意図的に設計された広告だと判断しています。
英語教育を提供する事業者の広告として、極めて悪質です。まともな実績があるなら、まともな測り方で見せればいい。公式TOEICから公式TOEICへ。同じ物差しで測る。
「8週間で+565点」を売り文句にするような広告は、CPILSという語学学校そのものの評判を明確に傷つけるものです。私は、このような広告を信用しません。
フィリピン留学で英語力を伸ばすなら、留学前の事前学習から始める
フィリピン留学は、マンツーマンレッスンをたくさん受ければ英語力が伸びる魔法ではありません。特に英語の基礎が十分に身についていない人は、留学してから英文法や語彙を勉強するのではなく、日本にいるうちに基礎を固めておくことが重要です。
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ハルヨンで事前学習、フィリピン留学で英会話。
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先生が学習計画を設計する。先生が授業で教える。先生と実践する。身につくまで伴走する。
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