シンガポールの初代首相であったリー・クアンユー氏は、アジアの弱小国に過ぎなかったシンガポールを、たった一世代で世界でも有数の豊かな国に変えた「シンガポールの建国の父」と呼ばれる人です。彼は、シンガポールの第一言語を英語に変えたこともあり、生前、英語の重要性について何度も語っています。英語は世界共通語であり、21世紀の社会では、英語ができることが非常に優位に働くようになると語っています。
今回は、リー・クアンユー元首相を取材してまとめられた本『リー・クアンユー、世界を語る』を中心に、リー・クアンユー元首相が英語の重要性について語っている部分をまとめました。
英語の重要性1 英語は有能な人材の共通語である
リー・クアンユー元首相は英語が世界の優秀な人材の共通言語となっており、国家が有能な人材を登用したり、優秀な移民を受け入れる上で英語が公用語とされていることの優位性について語っています。
英語が科学、技術、発明、ビジネス、教育、外交の分野で世界トップクラスに上りつめた人材の共通語になっている
社会に包容力があり、外国の有能な人材を受け入れやすい英語を使う点で、今後も引き続きアメリカは有利だ。英語を使っているからこそ、アジアやヨーロッパの英語を話せる有能な人材を多数受け入れられるのだから、その点では明らかに中国より有利だろう。
たとえ中国がアメリカのように有能な移民に門戸を開いたとしても、中国語を習得しないと中国社会には溶け込めないだろう。・・・ 中国がシンガポールのように主要言語に英語を採用しないかぎり、国外の有能な人材を登用する際に生じる言語障壁や付随する問題を乗り越えられるかどうかはわからない。
英語の重要性2 英語はビジネス、科学、外交、研究という部門での成功に必須
リー・クアンユー元首相は世界の最先端の部門に関して英語の果たす役割を大きく評価しています。最先端の議論は英語で行われており、新たな技術革新や発見は英語を中心に行われるため、ビジネス、科学、外交、研究といった分野で活躍したければ英語を学ぶことが必須となると語っています。
シンガポールは、過去40年間にわたり、英語を第一言語にし、中国語を第二言語として確立する取り組みをしてきた。その理由は何か?それは、世界言語という面だけでなく、英語の思考法によって、新しい発見や発明につながる効用をも考慮し、世界に向けて門戸を開放するためだ。
今日、英語力はもはや、競争していくうえでの強みではなくなっている。多くの国で、子供達に英語教育を受けさせている。21世紀には、英語を基本的スキルとして多くの子供が身につけようとする。成功したければ、英語をマスターすべきだ。英語は、ビジネス、科学、外交、研究といった分野で必須の言語だからだ。
英語の重要性3 インターネット時代の英語の重要性
リー・クアンユー元首相は、インターネットにおける英語の優位性についても語っています。インターネットでは英語の情報が圧倒的に多いために、英語が使える人と使えない人では情報格差が生じる点について言及されています。ここでは語られていませんが、IT技術に関しても最先端の議論はネット上で英語で行われるのが普通であるため、英語ができなければ技術革新についていけないという状態も実際に起きつつあります。
我々(シンガポール)には、英語が世界やインターネットの共通言語である時代に、国民がみな英語教育を受けているという強みがある。
インターネットという大きな武器も獲得しました。ネット上の公用語が英語のため、莫大な量の情報が母国語で入手できます。これは他の言語にはないことです。英語に堪能でない人はその分不利になってしまいます。
中略
(インテル会長のアンドリュー・グローブ氏の話で) 彼は自分の病気の治療法を決めるのに、まずインターネットで前立腺ガンの最新研究をダウンロードし、医者と治療法について話し合ったそうです。この医学データはすべて英語でのみ手に入るものなのです。英語ができなければ、同じ情報を手に入れるためにおそらく10倍も時間がかかるでしょう。
(日本も公用語を2つにした方が良いと思われますか。という質問に対して)
そう思います。日本はキャッチアップが非常にうまい国ですが、インターネットの世界でキャッチアップするには英語が欠かせません。中学生全員が英語を上手に使えるようになることが重要だと思います。
リー・クアンユー氏が語るように人生の早い段階で英語ができるようになることが、今後ますます有利になるでしょう。学生や社会人の方は早い段階で英語学習を開始することをお勧めします。