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日本の図書館に眠る世界的名作。AIが教えてくれた英語絵本を借りてみた


英語学習を続けていると、「英語勉強するための教材」「受験・資格対策のための参考書」といった実用的な書籍ではなく、「英語物語を楽しめる本」が読みたくなることがあります。

しかしそういった「英語楽しむための書籍」を実際に探してみると、それは意外と難しいものでした。

日本の書店で英語参考書の棚を見てみると、そこにある物語は「赤毛のアン」や「シャーロック・ホームズシリーズ」「ヘミングウェイ」のようなよく知られた名作・古典作品ばかり。現代的なものはまず有りません。

インターネットで「英語絵本 おすすめ」と検索しても、

など、小さな子ども向けの長年親しまれてきた定番作品ばかりが紹介されています。

もちろんどれも素晴らしい作品ですが、毎度毎度同じ定番の絵本を勧められるので正直飽きています。

私が読みたかったのは「現代を舞台にした、大人でも楽しめる英語絵本」でした。

なぜ絵本かというと、絵本であれば、子供向けで読みやすく、短い物語だからすぐに読み終わりますから息抜きに最適かなと。

そこで今回英語の絵本探しに頼ったのがAIでした。すると、自分では一生出会わなかったかもしれない作品をAIは紹介してくれました。

そして、人口約375万人を擁する日本最大の自治体・横浜市の横浜市立図書館にある英語絵本の蔵書を探しいる中で、もう1つ驚くべき事実が分かりました。

英語絵本は、大人の英語学習にもおすすめ

「絵本」というと、「子ども向け」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし実際には、大人だからこそ楽しめる絵本は数多くあります。

例えば、日本人著者の絵本だと多様性(ダイバーシティ)を描いた、みえるとか みえないとか / ヨシタケシンスケ (著), 伊藤亜紗 (著)。

みえるとか みえないとか

こういった作品は大人が読んでも楽しめます。

そして日本の絵本と同様に、英語の絵本は文章は比較的短いものの、

など、テーマは非常に深く、大人だからこそ心に響く作品がたくさん有ります。

さらに英語学習の面でも、

というメリットがあります。

参考画像: 日常英会話の習得、TOEIC LR試験対策と特に相性が良い Thank YOU, OMU!

私は以前、その理由について詳しく記事を書きましたので、詳細は以下の記事を確認ください。

関連記事
英語絵本は大人の英語学習におすすめ!英検・TOEIC LR対策にも役立つ7つの理由
⇒この記事では、英語絵本が「子どもの教材」ではなく、「大人の英語教材」として優れている理由を詳しく紹介しています。


AIに「おすすめの英語絵本」を聞いてみた

ここからAIを英語の絵本探しにどう役立てるかです。

英語の絵本を探す際に私はChatGPT/Geminiに、まずは図書館の本棚の写真を撮影して読み込ませました。

横浜市立図書館の英語絵本の本棚

そして、最初は次のような条件で質問しました。

これまでに賞を受賞したことがある定番の絵本を探して

という条件でお勧めの本を上げてもらいました。

そして勧められたのは以下の本でした。

ただ、これらは読んでいて「なんか違うな」と思ったので、質問の内容を変えました。

この10年以内に出版されて、現代が舞台で、賞を受賞したことがある絵本を教えて

そして次に勧められたのが中国系移民の歴史・アイデンティティーについて描かれているWatercressでした。

Watercress / Andrea Wang (著), Jason Chin (イラスト)

これは私の好みにドンピシャで当たったお勧めの絵本でした。一連の英語絵本についての記事を書くきっかけになったのがこのWatercressでした。

関連記事

英語書籍の詳しい探し方については、こちらの記事でも紹介しています。

https://hal4.jp/english-picture-books-ai-recommendations/

AIがおすすめしてくれた世界的名作

今回、AIがおすすめしてくれた作品の中から、私が実際に借りて、読み込むことを決めたのは次の4冊です。

どれも、それまで私は名前すら知りませんでした。

ところが調べてみると、

という、世界的に評価されている作品ばかりでした。

それぞれの賞について

コールデコット賞(Caldecott Medal)

アメリカで最も権威のある「絵本の賞」です。

前年にアメリカで出版された絵本の中から、最も優れた「イラスト(視覚的表現)」を手掛けた画家に贈られます。その年の最高峰である「金賞(メダル)」と、それに次ぐ秀作に贈られる「銀賞(オナー)」があります。

ニューベリー賞(Newbery Medal)

アメリカで最も権威のある「児童文学の賞」です。

世界最古の児童文学賞であり、最も優れた「文章・物語の質」を評価して著作者に贈られます。文字中心の小説が選ばれることが多い中、ストーリーが極めて秀逸な絵本が受賞することもあります(最高賞の金賞と、銀賞のオナーがあります)。

APALA賞(Asian/Pacific American Award for Literature)

アジア系・太平洋諸島系アメリカ人の文化や歴史、移民としての経験などを豊かに描いた優れた文学作品に贈られる賞です。

多文化主義を推進するアメリカ図書館協会の関連団体が選出しており、当事者のリアルな視点や家族の絆を描いた絵本が「最優秀絵本賞」に選ばれます。

ワンポイント・トリビア
日本でいう「芥川賞・直木賞」や「本屋大賞」の児童書版とも言える、世界最高峰の賞ばかりです。
特に『Watercress』のように、絵を評価する「コールデコット賞」と、物語を評価する「ニューベリー賞」をダブル受賞する作品は、児童書の世界では歴史的にも非常に珍しい快挙です。

参考画像: Waterの表紙にシールが有ります、上から順番に以下の文字が読み取れます。

横浜市立図書館で貸出状況を調べてみた

人口375万人の横浜市で自分以外に何人くらいの人たちが英語の絵本、名誉ある賞を受賞した絵本を読んでいるのだろうか。

英語絵本を取り寄せるために、横浜市立図書館の蔵書検索使用しました。

そして、その際に上記の疑問が頭に浮かんだので、これらの英語絵本の貸し出し状況について詳しく調べてみました。

実際の貸出状況は私が予想したものとは悪い意味で全然違うものでした。

驚いたのは、世界的に高く評価されている『Last Stop on Market Street』『A Different Pond』『Thank You, Omu!』を借りていたのが、調査時点では私だけだったことです。

Last Stop on Market Street の貸し出し状況

横浜市立図書館では「所蔵:9冊、予約:1件」となっていました。

この予約受取待1件は私自身の予約です。つまり、私以外に、この作品を借りようとしている利用者はいなかったということです。

世界的名作が、日本の図書館では静かに本棚に並んでいたのです。

A Different Pond の貸し出し状況

こちらの貸出状況は「所蔵:3冊、予約:0件」

貸出中なのは私が借りている1冊だけでした。残り2冊は貸出可能です。つまり、この作品も私以外に借りている利用者はいませんでした。

Thank You, Omu! の貸し出し状況

最後に調べた Thank You, Omu! も同じでした。「所蔵:3冊、予約:0件」

貸出中なのは私が借りている1冊だけ。残り2冊は貸出可能でした。つまり、この作品も私以外に借りている利用者はいませんでした。

人気作品の貸し出し状況と比べると違いは一目瞭然

図書館の利用状況を比較するため、2026年6月発売の話題作、辻村深月さん『ファイア・ドーム 上』の横浜市立図書館での貸出状況も調べてみました。

結果はこちらです。

「所蔵:18冊、予約:1,029件」

18冊しか所蔵されていないにもかかわらず、1,000人以上が順番待ちをしています。1,000人超えの予約となると借りれるのは1年後でしょうか。

英語絵本3冊と比較すると、貸し出し状況の違いは非常に大きなものでした。

作品所蔵数予約件数私以外の貸出状況
Last Stop on Market Street9冊1件(私)なし
A Different Pond3冊0件なし
Thank You, Omu!3冊0件なし
ファイア・ドーム 上18冊1,029件非常に多い

もちろん、この比較は「どちらが優れた作品か」を論じるためではありません。

辻村深月さんは日本を代表する人気作家であり、新刊に予約が殺到するのは自然なことです。

私が伝えたいのは、「世界的名作でも、日本では全く知られておらず、誰も読んでいない」ということです。

世界的名作なのに、日本では知られていない

今回横浜市内の他の図書館から取り寄せた3冊は、どれも海外では非常によく知られた作品です。

つまり、「評価されていない作品」ではありません。むしろ世界的には高く評価されている作品です。

それでも日本では、その本の存在自体を知らない人がほとんどではないでしょうか。実際、私自身もAIに教えてもらうまで、この3冊(+Watercress)のタイトルを一度も聞いたことがありませんでした。

横浜市は人口約375万人を擁する、日本で最も人口の多い自治体です。

その横浜市立図書館でさえ、世界的に評価されている英語絵本『Last Stop on Market Street』『A Different Pond』『Thank You, Omu!』は、調査時点では私以外に借りている利用者がいませんでした。

このことは、「英語絵本の人気がない」のではなく、「英語絵本の存在そのものが知られていない」という現状を示しているのではないでしょうか。

AIは自分に最適な絵本を紹介してくれる

静かな描写が美しい A different pond.

今回私は思いつきから自分にお勧めの英語絵本を探すためにAIを使いました。

AIには何度か質問し、最終的には以下のような質問で自分のための英語絵本を探すようになりました。

すると、

といった自分好みの作品を紹介してくれました。

AIは読書コンシェルジュ

今回、私は改めてAIの新しい活用方法を発見しました。

図書館の本棚を撮影するだけでAIは自分にお勧めの書籍を紹介してくれます。

そして、例えば「現代を舞台にしている」「英検、TOEIC LR試験対策にも役立つ」という条件まで加えると、まさに自分好みの英語絵本を紹介してくれます。

これは従来の検索エンジンを超えた便利さです。

私はこの体験を通して、AIは検索エンジンを超えた、「読書コンシェルジュ」のような存在だと感じました。

AIと図書館を組み合わせる時代へ

今回、私が実践した流れはとてもシンプルです。

  1. 図書館の本棚を撮影する
  2. 自分がどういう条件の本を探しているのかまとめて、AIにお勧めの本は何かを聞く
  3. 図書館で無料で借りる

図書館利用なので、お金はかかりません。しかも、図書館には司書の方々が厳選した、時の試練を超えて残った世界的名作があることが多いです。

私はこのAIに自分にとって最適な書籍を選んでもらう方法が、英語学習だけにとどまらず、新しい学びの形になっていくのではないかと思いました。

“AI×図書館”の相性は抜群

今回の体験で感じたのは、AIと図書館は非常に相性が良いということです。

AIはあなたに合った本を探すことが得意です。一方、図書館はその本を無料で借りられる場所です。

つまり、AIが入口になり、図書館が出口になる。

この組み合わせによって、これまで知られていなかった名作が、多くの人に読まれるようになる可能性があります。私は今回、そのことを身をもって体験しました。

もしAIを使っていなければ、私は積極的に英語絵本を借りて、読み込むことはなかったでしょう。

そして私がいなければ、人口375万人もいる横浜市でさえも、この記事で紹介した英語絵本は誰からも借りられず、今も図書館の本棚で静かに眠っていたかもしれません。

私がこの記事を書いた理由

今回の記事を書いた理由は、とてもシンプルです。私は1人でも多くの人に英語絵本を読んでほしいと思っています。

参考画像: 自分以外の人間が誰もいない英語絵本のコーナー

名作・傑作の英語絵本があって、それらを無料で借りることが出来る図書館という環境。しかし、現状ではほとんど全く顧みられていません。

これはとてももったいないことです。そして、手に取られないのは存在を知られていないからです。

もしこの記事をきっかけに、「図書館で英語絵本を借りてみよう」「AIにおすすめを聞いてみよう」と思う人が一人でも増えたら、これほど嬉しいことはありません。

英語学習は、参考書で試験対策のためだけに勉強するだけのものではありません。

感動する物語を読み、その英語を何度も味わうことも、立派な英語学習です。そして、その第一歩として、英語を母語とする子供たちが読んでいる英語絵本は最高の教材だと私は考えています。

絵本は子供向けなので、難易度が低いし、文章が短いものが多いので、英語力がそれほど高くなくても読めるものはたくさん有ります。

この記事を読んだ感想

もし皆さんのおすすめの英語絵本や、「AIにこんな条件で聞いたら良い本が見つかった」という体験があれば、ぜひコメントで教えてください。

一人でも多くの方が、図書館で英語絵本を手に取り、「こんな名作があったのか」と感じてもらえることを願っています。

Twitter(X): https://x.com/HAL_J

Threads: https://www.threads.com/@hal_j

よくある質問(FAQ)

Q. 英語絵本は子ども向けではありませんか

もちろん子ども向けの作品もあります。特に未就学児向けの絵本はとても難易度が低いです。

記事の中にチラッと登場した”Dear Zoo”は難易度がとても低いです。3歳児でも読めます。

一方、大人が読んでも面白いものは数多く有ります。この記事で紹介した

は特にお勧めです。

家族、人生、多様性、地域社会などをテーマにした作品は、大人の読者にも高く評価されています。

Q. 英語絵本は英検対策やTOEIC LR試験対策に繋がりますか

当然繋がります。

英語絵本には、

が数多く登場します。

特に絵本は音読教材として優れており、英会話能力の向上に繋がりますし、英文読解・リスニングの基礎力育成にも役立ちます。

この記事の中でも紹介しましたが、詳しくは以下の記事の内容を確認ください。

関連記事
英語絵本は大人の英語学習におすすめ!英検・TOEIC LR対策にも役立つ7つの理由


Q. AIにはどのように質問すればよいですか?

まずは英語力を軸に質問するのがお勧めです。「初級者向け」「中級者向け」「上級者向け」というように。

その後は自分が興味のあるテーマを投げかけると良いです。

私だととりあえず「現代を舞台にしている」「英検・TOEIC LR試験と相性が良い」という条件で選んでもらいました。

AIは条件を細かく伝えるほど、自分に合った作品を提案してくれます。具体的な質問方法については、こちらの記事をご覧ください。

関連記事

https://hal4.jp/english-picture-books-ai-recommendations/

Q. 横浜市立図書館以外でも借りられますか?

自治体によって所蔵状況は異なります。

ただし、今回紹介したような受賞作品は、多くの公共図書館で所蔵されていることがあります。

まずは、お住まいの自治体の図書館ホームページで検索してみることをおすすめします。

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