(TOP画像 英検2級対策の参考書にある英文を読み込んだ生成AIが作成したイラスト)
TOEIC L&R試験や英検、大学入試の英語学習は、どうしても無味乾燥になりがちです。英文を読む。知らない英単語を調べる。英文法や構文を確認する。音声を聞く。そして何度も音読・暗唱する。
英語力を伸ばすために必要な学習だと分かっていても、同じ英文を何度も繰り返すのは楽ではありません。でも2026年現在、生成AIを使えば、このインプット学習をかなり楽しくできます。
私が最近よくやっているのが、TOEIC L&R試験や英検、大学入試対策で学んでいる英文を、生成AIを使って自分好みのイラストや図解にすることです。
TOEICの英文を「一枚の絵」にして理解する
【画像:TOEIC L&R試験 Reading Part 6「Building Maintenance」】
上の画像は、TOEIC L&R試験のPart 6に登場した、ビルのメンテナンスに関する英文をもとに作ったものです。文章だけでは、どの階で工事が行われ、どの階への影響が小さく、どこに入れないのかを頭の中で整理する必要があります。
そこで、ビルそのものを断面図にしました。2階と3階ではメンテナンスが行われている。4階以上への影響は小さい。地下には入れない。英文に書かれている空間関係を、一枚の絵として確認できます。
単に「かわいいイラストを作る」のではありません。英文の内容に合わせて、理解しやすい補助教材に作り変えているのです。
TOEICの架空の世界なら、好きな絵本のようにしてしまう
TOEIC L&R試験には、会社からのお知らせ、求人広告、商品案内、メールなど、さまざまな英文が登場します。英語教材としては良質ですが、「この英文をもう一度読みたい」と思わせる文章ばかりではありません。
そこで私は、こうした英文を自分が好きな絵本のような雰囲気でイラスト化しています。
まず、元になったTOEIC L&R試験の英文がこちらです。
【元の英文:TOEIC L&R試験 Reading Part 6「Springford Marketer」】
「Springford Marketer」というオンラインサービスについて説明した英文です。オンライン上で制作工程を一元管理できる、スマートフォンやパソコンから利用できる、時間や費用を節約できる、といったビジネス系の内容です。
英語教材としては良質ですが、正直、何度も読み返したくなるような内容ではありません。
そこで、この英文を生成AIに読み込ませて、自分が好きな雰囲気のイラストにしてみました。
【生成AIでイラスト化した「Springford Marketer」】
同じ英文でも、自分が好きな紙や切り絵、コラージュのような世界にすると、印象がまったく変わります。
TOEICの問題文で設定される企業、人物、商品、サービスなどの多くは、試験のために作られた架空のものです。だったら、その架空の世界を自分好みの世界にしてしまえばいい。
文字だけだった英文に人物や場所が生まれることで、「何について書かれていた英文なのか」も思い出しやすくなります。そして何より、もう一度見たくなる。英語学習では、この「もう一度触れたくなる」ことがかなり重要です。
英検のノンフィクション英文なら、内容理解を優先する
一方、何でも絵本風にすればいいとは考えていません。英検の長文では、環境、科学、歴史、文化、社会問題など、実際の世界について書かれたノンフィクションの英文を読む機会が増えます。
こういう英文では、楽しさだけでなく内容を正確に理解することを優先してもいいでしょう。
【画像:英検2級『文で覚える単熟語』「マイクロプラスチック」】
この英文では、プラスチックごみが細かく砕かれてマイクロプラスチックになり、海などへ流れ込み、海洋生物に影響を与える流れを扱っています。そこでイラストでも、Plastic waste → break down → microplastics → bodies of water → sea creaturesという因果関係が一目で分かるようにしました。
英文を全部イラストの中に詰め込む必要はありません。英文全体の骨格を一枚の絵で理解できれば十分です。
【画像:英検2級『文で覚える単熟語』「食品ロス」】
食品ロスについての英文も同じです。捨てられてしまう食品がある。それをスマートフォンのアプリを使って安く販売する。それを消費者が購入することで食品ロスを減らす。文章で説明されていた社会問題と解決策の関係を、一枚の絵として整理できます。
実在する動物や自然現象なら、もっと写実的な画像にしてもいいでしょう。科学的な仕組みなら、イラストよりも正確な図解を優先してもいい。
楽しく反復することを重視するなら、自分が好きな画風。現実世界について正確に理解することを重視するなら、写実的な画像や図解。 英文と学習目的によって使い分ければいいのです。
大学入試・英検対策の英文も、自分好みの教材にできる
この方法はTOEICや英検だけではありません。大学入試対策の英文読解でも使えます。
【画像:『入門英文問題精講』「使い捨てごみ、急増する家庭ごみ」】
これは英検・大学入試対策で使用している『入門英文問題精講』の英文をもとに作った画像です。元の英文には、次の一文があります。
With more and more disposable, packaged goods, the average household’s volume of garbage skyrocketed.
この英文では、使い捨て商品や包装された商品が増えたことによって、一般家庭から出るごみの量が急増したことが述べられています。そこで、重要な英文を残しながら、その内容を一つの場面として視覚化しました。
disposable、packaged goods、garbage といった重要語句と実際の情景が結びつきます。「英単語 → 日本語訳」だけではなく、「英単語 → 英文 → 情景」までつなげられる。 これもイラスト化のメリットです。
生成AIによる「英文の視覚化」は英語教育の研究でも始まっている
私がやっている「英文を生成AIでイラストや図解にする」という使い方について調べてみると、英語教育の研究でもかなり近い試みが始まっていました。
2026年に教育工学分野の学術誌『TechTrends』に掲載された研究「A Dialogue Between Students’ Imagination and GenAI’s Visualisation of the Text」では、第二言語として英語を学ぶ大学生32人を対象に、英文の内容を生成AIで視覚化する活動が行われています。
学習者は、ただAIが作った画像を見るだけではありません。
英文を読む
↓
重要な内容を考える
↓
その内容をもとにプロンプトを作る
↓
生成AIで画像にする
という流れで取り組みました。
これは、この記事で紹介している「TOEIC・英検・大学入試の英文を読み、その内容をイラストや図解にする」という使い方とかなり近いものです。
研究では、生成された画像によって、文章の内容をより具体的にイメージできたと評価した学習者がいる一方で、生成AIが英文の内容を正確に画像化できない場合があることも指摘されています。
ここは実際に使っていても重要だと感じます。
生成AIが作ったイラストを「正解」として覚えるのではなく、あくまで英文を理解したり、内容を思い出したりするための補助教材として使う。 特に科学、歴史、社会問題などを扱う英文では、元の英文と照らし合わせながら使う必要があります。
生成AIを「受け身」ではなく、能動的な学習に使う
私が特に面白いと思うのは、生成された画像そのものだけではありません。生成AIを受け身で使うのではなく、自分から働きかけることで、英文を能動的に読む学習に変えられることです。
英文のどこが重要なのか。何と何が因果関係にあるのか。どの人物や場所を描けば内容が伝わるのか。
生成AIに適切なイラストを作らせようとすると、まず自分自身が英文の内容を理解しなければなりません。 そして、生成されたイラストが英文の内容と合っているのか確認するためには、もう一度英文に戻る必要があります。
つまり、イラストを作ること自体が目的なのではありません。英文を読み、重要な情報を選び、AIに指示し、生成されたものを英文と照らし合わせる。その過程そのものが、英文をより深く理解するための学習になります。
AIに英文を渡して「要約して」と頼み、その答えを読むだけなら、学習者は受け身のままです。
一方で、自分で英文を理解し、「この内容をどう表現すれば分かりやすいか」と考えながらAIを使えば、生成AIを能動的な学習の道具にできます。
AIに英文を読ませて終わるのではなく、英文を理解するためにAIを使う。
私は、ここに生成AIで英文をイラスト化する大きな意味があると考えています。
参考:
A Dialogue Between Students’ Imagination and GenAI’s Visualisation of the Text
https://link.springer.com/article/10.1007/s11528-026-01190-5
ChatGPT-mediated mind mappingを用いたEFL読解研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42149867/
AIで新しい教材を無限に作る必要はない
生成AIが普及してから、「AIに英語教材を作らせる」という使い方も増えました。でも私は、英語教材そのものを無限に増やす必要はないと考えています。
TOEIC公式問題集、英検の過去問や参考書、大学入試対策の良質な参考書、NHKの英語教材、英語絵本など、人間が作り、編集した良質な英文はすでに大量にあります。英語学習で重要なのは、新しい教材を次々に消費することではありません。自分に必要な良質な教材を絞り、理解した英文を何度も反復して定着させることです。
生成AIには、主教材を無限に作らせなくていい。主教材は良質なものを使う。その教材を理解しやすく、何度も触れたくなる補助教材を生成AIで自分好みに作る。 私はこの使い方がかなり気に入っています。
TOEIC学習でも、生成AIに新しい問題を大量に作らせるより、TOEIC公式問題集などの良質な教材を生成AIで深く学ぶ方法をおすすめしています。
▶ 関連記事:TOEIC学習は生成AIを使わないと非効率すぎる時代に|金フレ・公式問題集・英語絵本をAIで使い倒す勉強法
分からない英文法があれば、自分が理解できるまで説明してもらう。知らない単語があれば、その英文でなぜその意味になるのか質問する。英文の内容が複雑なら図解する。無味乾燥なら、自分が好きなイラストにする。
同じ一つの英文を、生成AIを使っていろいろな角度から理解できるようになりました。
かつてなくインプット学習が楽しい時代になった
英文法、英単語、英文読解、リスニング、音読・暗唱。こうしたインプット学習は地味です。特に英語初級者ほど、いきなり英会話ばかりするのではなく、こうした基礎学習にかなりの時間を使う必要があります。
以前なら、市販されている教材を基本的にそのまま使うしかありませんでした。今は違います。自分が理解しやすく、自分が何度も見たくなる補助教材を、その場で作れます。
自分が好きな絵にする。自分が分からないところだけ詳しく説明してもらう。自分が覚えにくい英単語だけ視覚化する。自分のレベルに合わせて図解してもらう。
教材に自分を合わせるだけでなく、補助教材のほうを自分に合わせられるようになった。
これはかなり大きな変化です。英語学習史上、これほど簡単に自分好みの補助教材を作れた時代はありません。私は、生成AIによって、かつてなくインプット学習が楽しい時代になったと感じています。
生成AIで変わったのは、TOEICや英検などの試験勉強だけではありません。生成AIを辞書や家庭教師のように使うことで、以前なら難しすぎた英語の原書にも挑戦しやすくなりました。
▶ 関連記事:生成AIで「英語の原書を読む」ハードルが一気に下がった。いまは史上最も原書が読みやすい時代
AI時代に差を生むのは「受動的」か「能動的」か
そして、これから大きな差を生むのは、単純に「AIを使っているか、使っていないか」だけではないと思います。もっと重要なのは、AIに対して受動的なのか、能動的なのかという違いです。
生成AIによって、これから大量のコンテンツが作られるようになります。AIが作ったShort動画を見る。次を見る。また次を見る。自分から何かを求めなくても、AIとアルゴリズムが興味を引きそうなコンテンツを次々に差し出してくれます。
刺激の強いコンテンツを受動的に消費し続け、ドーパミンを求めてShort動画を延々とスワイプする「ドパガキ」になることもできます。
一方、AIを能動的に使う人は逆です。自分がやりたいこと、知りたいことが先にあり、そのためにAIを使います。
この英文をもっと深く理解したい。この英単語を使えるようになりたい。この本を英語で読みたい。知らない世界についてもっと知りたい。TOEICの無味乾燥な英文を、もっと楽しく勉強できないか。
そんな目的や好奇心が先にあって、そのためにAIに質問し、調べ、比較し、図解し、イラストを作る。
受動的:AIが作ったものを与えられ、消費する。
能動的:自分の目的のためにAIを使い、学び、作る。
同じAIを使っていても、やっていることは正反対です。
AIに勉強させるのではなく、AIを使って自分を高める
もちろん、生成AIに勉強そのものを代行させても英語力は伸びません。AIに英文を読ませて、自分は日本語の要約だけを読む。AIに英作文を書かせて、そのまま提出する。これではAIが賢く働いているだけで、本人の英語力はほとんど伸びません。
私がやりたいのは、その逆です。AIに自分の代わりに勉強させるのではなく、AIを使って自分の学習能力を拡張する。
TOEIC L&R試験や英検、大学入試の英文をイラスト化するのも、その小さな一例です。最後に英文を読み、聞き、音読し、暗唱し、使えるようにするのは自分です。生成AIは、その過程を理解しやすく、そして少し楽しくしてくれます。
生成AIは英文を一瞬で解説できますが、人間は一瞬では覚えられません。「分かった」を「使える」に変えるには、自分で何度も反復して定着させる必要があります。
▶ 関連記事:生成AIで英語学習はどう変わる?「理解」から「定着」へ
さらに英語を身につければ、日本語だけではアクセスできなかった本、ニュース、研究、文化、人々の考え方にも直接触れられるようになります。
AIが作った世界を受動的に眺め続けるのか。AIを能動的に使って、自分自身を高め、より広い世界へアクセスするのか。
AI時代には、この差がどんどん大きくなっていくと思います。
まとめ:AI時代だからこそ「好奇心」が重要になる
2026年9月、日本の15歳は国際学力調査PISAで高い学力を示す一方、「好奇心が低い」という調査結果が話題になりました。このニュースを見て、生成AI時代には「自分から知りたいと思うこと」そのものが、これまで以上に重要になると感じました。
生成AIは、自分から問いを立てる人にとって、とてつもなく便利な道具です。「なぜだろう」「もっと知りたい」「もっと分かりやすくできないか」と思えば、その疑問をすぐにAIにぶつけられます。
TOEIC L&R試験の無味乾燥な英文を、「好きな絵本のようなイラストにしたら、もっと楽しく勉強できるのでは」と考えたのも、その一例です。
AIが作ったコンテンツを受動的に消費するのか。それとも、自分の好奇心を出発点に、AIを能動的に使って学ぶのか。
英語を身につければ、その先には日本語だけではアクセスできなかった本、ニュース、研究、文化、人々の考え方があります。そして今は、生成AIを使って、そこへ向かうための補助教材まで自分好みに作れます。
かつてなくインプット学習が楽しい時代になりました。
だからこそ、AIに時間を奪われる側ではなく、AIを使って自分を高め、より広い世界へアクセスする側に回りたいと思っています。
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生成AIは、英文を理解したり、自分専用の補助教材を作ったりするうえで非常に便利です。ただし、何を、どの順番で、どれくらい学び、どう定着させるかまで自分一人で設計するのは簡単ではありません。
ハルヨンでは、英文法・発音・英文読解から音読・暗唱、英会話まで、一人ひとりの英語力に合わせて学習を進めます。先生が学習計画を設計する。先生が授業で教える。先生と実践する。身につくまで伴走する。
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